生き残る日本人向けカラオケ・バー

生き残る日本人向けカラオケ・バー

パタヤのバーには中国人団体の冷やかしと、韓国人の若者でいっぱいの店もあった

 新型コロナウイルスの影響で外国人観光客がほぼ皆無になったタイ。特に外貨目当てのナイトエンターテインメントは、多くが廃業、休業となっている。今後、観光客受け入れが再開しても、復活する店は少ないかもしれない。

 ただ、日本人向けの夜遊びスポットは、わりとしぶとく生き残っている傾向にある。堅実な経営や売り上げのプールなど、多くの店がしっかりとした事業として運営しているからだ。ただ、やはりタイ人経営の店はかなり厳しいだろう。

 特に日本人が遊ぶスポットといえば、たとえばカラオケ、それからバーがある。日本人向けのカラオケは、日本でいう高級クラブと、いわゆるキャバクラの中間になるような店だ。主に男性客がターゲットになっていて、入店すると女性が隣につく。料金形態は大まかに2種類あり、時間制のセット料金、もしくは席料などのチャージとドリンク代。観光客向けはシーロム通りのタニヤ、在住者向けはスクムビット通りにこういった店がある。

同化したタイ華人たちはKTV遊び

 中国人向けの夜遊びスポットは、もっと狭い世界のような気がする。タイは中国からの移民が1800年代から戦後まで多かったが、タイ政府の同化政策によって2世3世は完全にタイ人になっている。このあたりがシンガポールやマレーシアと違う。

 そのため、タイ華人の遊び場が必ずしも中国人向けの遊び場とは限らない。また、中国人には外国語を話せない人も少なくない。そうなると、日本人向けカラオケ以上に中国人向けに特化した店が彼らの遊び場になるようだ。

 KTVなどと呼ばれる、結局カラオケ店なのだが、こういう中国人向け店の料金設定は日本人向けよりもかなり高いセット料金が多い。しかし、入店から退出まで飲み放題、時間無制限になっているので、長くいればいるほど安くなるという仕組みになっている。ただし、客だけでなく従業員もまた中国語しかできない店がほとんどだ。ママさんクラスがかろうじてタイ語を話せるくらい。こういった店はシーロム通りなどで見られる。

韓国人は日本人に似ている?

韓国人は日本人に似ている?

バンコクの人気観光地の1つ中華街(ヤワラー)

 韓国人の遊び場は実は謎が多い。長期滞在者が日本人より少ない一方、観光客は日本人以上だが、観光客は主にディープなナイトライフを好む傾向にあるように見受けられる。

 10年20年前の日本人観光客が、好んでいたような遊び場で今、韓国人をよく見かけるのだ。ゴーゴーバーなどの他、タイ人向けのバーなどでもよく韓国人を見かけるようになった。タイ人の呼び込みもかつては日本語で話しかけてきたが、近年は韓国語で呼びかけることも多い

 カラオケのようなバーも韓国人向けがあるようだ。しかし、こちらは長期滞在者向けであり、ホステスの女性などは韓国人であることが少なくないようだ。日本人向けのバーで日本人ホステスが働くというケースはかなり稀(まれ)だが、かつては韓国人女性が韓国人男性を相手にするバーがスクムビット通り界隈には何軒かあった。

 夜遊びに対する柔軟性は日本人が最も高く、中国人は保守的だ。韓国人は、日本人に遅れをとりながらも、特に若い世代は日本人の同世代よりもずっとアグレッシブに遊びまわっている。国によって遊び方はそれぞれのようである。
 

高田 胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコクアソビ』(イースト・プレス・2018年)、『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(彩図社、2019年・皿井タレー共書)、『ベトナム裏の歩き方』(彩図社、2019年)、近著『亜細亜熱帯怪談』(晶文社、2019年・監修丸山ゴンザレス)など。
@NatureNENEAM
在住歴20年が話したい本当のタイと見てきたこととうまい話と(note)

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