非常にラッキーだった酒乱学生

非常にラッキーだった酒乱学生

最高指導者の訪問(試乗)を記念するプレート

夏の平壌で起こる騒動・拘束事件 日本人の北朝鮮入国審査がさらに厳しく(3/4)の続き。

 酒乱学生が乱痴気騒動を起こしたのはお披露目式を行う2日前の8月7日だった。 万寿台創作社が絡んでいるということは、朝鮮労働党幹部クラスも当然、出席するだろうし、国家級のイベントのはずだ。おそらく本件の責任者はすでに在職していないだろう。

 責任者とその家族たちの人生を狂わせてしまった、かもしれないことを学生らは自覚しているのだろうか。

 酒乱学生らが「第2のオットー・ワームビア」にならずに済んだのは、金正恩委員長の“現地指導”前だったからだ。このクラスの模型なら当然ながら金正恩委員長の現地視察は十二分にありえる。金正恩委員長が視察した場所には訪問を示すプレートが掲示されることが多く、もし、万が一、すでに金正恩委員長が視察済みでプレートがある状態で、破損やプレートを傷つけるようなことになっていたら、彼らは今も日本の地が踏めていない可能性が高い。また、日朝の国際問題にも発展していたことは容易に想像できる。

 その意味で、学生らは非常にラッキーだったと感謝するべきだろう。

普通の旅は望めない北朝鮮旅行

 酒乱学生らのパスポート番号を見るとともに海外の日本大使館、領事館で発行されたものだと分かる。人とは違う経験をすることを好むようだ。

 しかし、北朝鮮が特殊な国である意識が希薄だったのではないだろうか。普通の旅ではないことは事実である。だが、あまりにも“舐めすぎている”と言わざるを得ない。

 北朝鮮観光は、決められたコース、観光地を巡る官製ツアー要素が強く、旅行者の希望通りの旅は難しい国だ。

 北朝鮮観光が再開したら各旅行代理店は、こんな勘違いした日本人を2度と手配しないために事前説明を増やすなど対応を進めると思われる。これも酒乱学生らが残した悪しき影響だろう。

次に拘束される日本人はユーチューバー?

次に拘束される日本人はユーチューバー?

自由行動がない北朝鮮ツアー。中国人団体客でごった返す板門店

 今、北朝鮮当局が警戒している観光客は、ユーチューバーだ。多くのユーチューバーは専業ではなく、ツアー申込書の職業欄には本業や違う職業を書いて申請しているとみられる。

 しかし、現実的には、北朝鮮ガイドに案内される普通の観光地を撮影して公開しても再生回数を稼ぐことは難しいだろう。そうなると当然、PV=報酬を稼ぐために他の人たちとは異なる過激な動画、迷惑行為などを隠し撮りなどで撮影するユーチューバーが今後、タケノコのように発生すると予想される。

 写真撮影でもガイドが常に目を光らせているのに、動画撮影が全面OKなわけはない。
 
 帰国後、ユーチューバー行為が発覚したら、罰金×××××円を請求しますなどの同意書を事前にとっていたとしても果たしてどこまで法的拘束力があるのか定かではない。新たな課題が突きつけられる旅行代理店の苦悩は2021年も尽きそうもない。

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