日本人が北朝鮮へ陸路入国できるのは2ルート
続いては陸路編。新型コロナウイルスによる観光入国停止前の時点で、日本人が北朝鮮へ陸路で入国できるのは、中国丹東からの国際列車と吉林省琿春からの羅先への2ルートとなる。
中国人であれば、他にも数か所、外国人が制限される2級イミグレーションから出入国ができる。
国際列車で入国したときは、新義州駅で停車して3時間ほどかけて入国手続きと手荷物検査が行われる。
書籍の有無を確認される
手順としては入国審査官担が各席を訪れて1人ひとり入国カ書類、パスポートを確認する。その後、税関職員が荷物検査を行う。検査で最初に質問されるのは、書籍や新聞などの有無で、持っていれば提示する。韓国の書籍、雑誌類を除き、よほどアダルト誌のような過激な写真が掲載されたものでなければ問題ない。
さて肝心のカメラであるが、本体を一瞬見て終わる。スマートフォンやパソコン、タブレット端末も台数だけ記録する。意外とあっさりだ。
携帯電話、スマホ類が解禁される2013年前は、持ち込んだ携帯電話やパソコンをその場で起動するよう言われたりで荷物検査に時間がかかっていた。しかし、ここ1、2年はほぼ実施されていない。
検査簡素化の理由は中国人客の増加
検査が簡易化した理由は、審査が緩和されたことよりも中国人旅行客の増加に要因がありそうだ。特に2018年春以降は、中国人旅行客が急増したため真冬でも国際列車は満席になる日が日常的になっている。
そのため、以前のように念入りに荷物検査をしていたら3時間で全乗客の検査を終えることができないため簡易化したのだろう。
加えて、昨年9月からは試験的に機械での荷物検査が始まっている(試験のためか丹東へ向かう帰路で実施)。国際列車による外国人入国が再開したら、機械での検査が行われる可能性もある。そうなるとカメラやスマホ類の確認へより時間を割いてくることも考えられる。
入出国いずれも写真チェックなし
続いて琿春からの入国はどうかと言えば、こちらもカメラやスマホのチェックはない。というのも中国人は羅先へ日帰りでパスポートなしの身分証だけで行けるため夏の観光シーズンは手続きを待つ長蛇の列ができる。
琿春を出国するとバスで豆満江を渡り北朝鮮側で入国審査、荷物検査を受けるが同じく流れ作業のためカメラ等のチェックはない。
もちろん、出入国エリア、審査や検査中の撮影は厳禁。見つかると注意だけでは済まず問題に発展することもあるので要注意だ。
出国時の流れも入国時と同じだ。北朝鮮で撮影した写真のチェックを受けたという訪朝者の話は耳にしない。
万が一、北朝鮮の観光再開後、中国人旅行者が大幅に減るようなことがあれば、検査が厳しくなるかもしれない。しかし、停止前と同規模の中国人観光客が陸路で訪朝するのであれば日本人への検査も大きく変わらないと思われる。