自助努力で外貨を稼ぐ必要があるローカル旅行会社
自助努力で外貨を稼ぐ必要があるローカル旅行会社
今年1月に文在寅大統領が表明するも進んでいなかった韓国人の金剛山への「個別観光」がここに来て進展かと韓国「聯合ニュース」が報じた。
その少し前の15日にも聯合ニュースは北朝鮮の「金剛山国際旅行社」がサイトを更新して観光再開準備かと伝えている。読むとフェイクニュースとまでは言えないが、一部の表面的な情報だけを切り取り結論ありきの記事として発信されているように受け取れる。
金剛山国際旅行社は、以前、KWTでお伝えした南浦や新義州など地方都市を拠点とするローカル旅行会社の1社で、外国人も担当できる。南浦などの旅行会社同様に自助努力で外貨を稼ぐことを平壌から求められており外貨を稼ぐため必死になっている。
今年1月22日から外国人観光客が全面停止されているため金剛山国際旅行社も非常に厳しい状況になっていると想像される。
金剛山や観光感想を月50件追加
そもそも金剛山国際旅行社とは、どんな会社なのか。同社は、元山を代表する旅行会社で、国際がついているので外国人の対応ができる。主に中国人を担当し、日本人は担当できない。正確には日本人以外のすべての外国人を対応すると書いたほうが正しい。
金剛山国際旅行社を利用するときには、必ず金剛山観光をツアーコースに含める必要がある。平壌や板門店、南浦などだけの観光はできない。金剛山観光を含めれば平壌などその他の都市も同社担当で訪れることができる。
聯合ニュースの記事を読むと、金剛山国際旅行社は7月に入ってから観光地紹介や観光客の感想を立て続けに更新する動きを見せていると紹介している。しかし、感想は6月も5月も2月も継続的に毎月コンスタントに50件ほどが追加されている。外国人観光客以外にも観光地の関係者、北朝鮮メディアの記者、国内旅行者など北朝鮮人の感想や新聞やテレビ報道からの引用なども掲載されており、多く人から感想が寄せられているように演出されている。
文末の寄稿者を見ると、中国人、在中同胞、海外同胞、シンガポール人などを見つけることができ、中でも中国人観光客が多いように思われる。
中国風サイトは中国遼寧省へ届け出している
中国風サイトは中国遼寧省へ届け出している
では、金剛山国際旅行社のサイト情報は誰に向かってアピールしているのだろうか。やはり全体の9割以上を占める中国人、中国の旅行会社向けと考えるのが自然だろう。
金剛山国際旅行社のサイトへアクセスすると、今ではホームページ自体がすっかりと少なくなってきた中国で10年以上前によく用いられていたフラッシュを取り入れ、角張った印象を受けるような中国風デザインだ。
さらにサイトをよく観察すると、右下に「辽ICP备13001679号-1」がある。ICPは、中国のサーバにサイトを開設するときに届け出や許可を受ける必要がある登録で、冒頭の1文字から遼寧省に届けたことが分かる。
(続く)