普通江ホテルの有料Wi-Fiから平壌なう
北朝鮮は、観光業を促進させるために外国人観光客向けにWi-Fiを含むインターネットサービス拡張を進めている。
北朝鮮がこれまで観光客から入国時に預かっていたスマートフォンなどを解禁したのは2013年。それに合わせて旅行者向けにSIMカードの有料レンタルなども始めている。
しかし、高額であることもネックとなりSIMカードをレンタルする観光客は増えなかったようで、最近は、Wi-Fiを拡張させることに力を入れている。
現在、先日ご紹介した北朝鮮なうなどと同様に平壌から「平壌なう」を発することが密かに流行っている。平壌で手軽にWi-Fiが利用できるのが「普通江ホテル」1階ロビーとなる。利用価格は10分間10元(約150円)。しかし、通信回線が細く複数の人間が同時に使用するとプチプチ切断されるなど激重との話もあったり、訪問時期によってはサクサク接続できたりと、訪問するタイミングに左右されるようだ。
ホワイトハウスはアクセスできるが青瓦台はアクセス禁止
実際に利用した日本人観光客によると、「フェイスブック」や「LINE」、「ツイッター」、「ユーチューブ」へのアクセスができたという。さらには、『産経新聞』、「ホワイトハウス」公式サイトへもアクセスできるなど中国の一般通信回線よりも制限なくつながるようだ。
しかし、韓国「青瓦台」公式サイト、「カカオトーク」は接続できず、どうやら日本やアメリカ、米企業サイトよりも韓国サイトを規制しているようだ。まあ当然かもしれない。
北朝鮮旅行の代理店によると、有料の有線LAN回線サービスもあるそうだが、事前予約が必要で利用料も高額なためか利用者がおらず実際の体験談を聞けていない。
とにもかくにも普通江ホテルから平壌なうと発信してみるのも旅の思い出になるのではないだろうか。
Wi-Fi拡張は中国人観光客のニーズに対応
一方、訪朝者に聞くとこんな話もある。
「行く前には絶対に『平壌なう』をやろうと思っていたのですが、いざ平壌へ到着するとテンションが上がり、平壌なうに費やす時間がもったいないと思って止めて別の場所を観光しました」(2019年12月の訪朝者)
平壌にいると外の世界と遮断された特殊な空気に包まれるので別次元にいるような感覚に陥りテンションが上がり、あっという間に時間が過ぎるという話はよく耳にする。
アフターコロナの北朝鮮観光では、「高麗ホテル」や「羊角島ホテル」のロビー、主要観光地でのWi-Fiサービスが始まるかもしれない。
というのも、元々北朝鮮でのWi-Fiサービス拡張は中国人観光客の強い要望によって進められてきたからだ。
現代中国人は常に「WeChat」がつながらないオフライン環境だと不安に感じる“WeChat依存症”が多い。これは、まさに中国政府による全人民愛用アプリ推進計画の賜物と言っても過言ではない。
というわけで、平壌の外国人向けWi-Fi環境は今後さらに進む可能性が高い。ぜひ平壌なうを連発させてみてはどうだろうか。