一般寝台と高級寝台で異なる販売元

一般寝台と高級寝台で異なる販売元

乗り鉄を興奮させそうな風景。ゆっくり走るのでピンぼけしづらい

一般寝台と高級寝台で異なる販売元

丹東と平壌を平均時速25kmで移動する国際列車に異変 人気鉄道チケットが買えない(1/2)の続き。

 前半記事から2か月ほど経ってしまい新型コロナウイルス感染拡大で中国はもちろん、北朝鮮情勢も状況が一変した。北朝鮮は外国人観光客へ国境を閉ざし、中朝の国際列車運行も停止してしまった。

 北朝鮮観光と中朝を結ぶ国際列車再開後の状況をイメージして読んでいただきたい。

 さすがに国際航空路線だとそんな身勝手は通用しないようだが、中国では、国際列車に限れば、出発地に優先権が与えられている。そのため、丹東発の国際列車は、地元丹東の大手旅行会社が一括購入する自体が起こっているわけだ。

 ここで独占購入できるのは、地元丹東市が裁量を持つ一般寝台席のみとなる。もう1種類グリーン席に相当する高級寝台席が存在する。後者は、丹東駅が販売権を持つというややこしいものだ。

 中国の鉄道は、都市内の地下鉄や都市間を結ぶ市電的な電車を除き、国営企業である「中国国家鉄路集団有限公司」(本社北京)が運営している。駅も同社が運営しているので中国の鉄道は、ほぼ国営と考えて差し支えはない。

 つまり、高級寝台席の販売権は、国が持っているため1社独占することはできない。その高級寝台席ですらも購入が難しく各旅行会社は苦戦している。

北京発や瀋陽発の国際列車チケットなら買える

 一般寝台席を独占購入している丹東の旅行会社は、買ったチケットを傘下のグループ会社へ配布している。コネがある中国企業であれば、配布されたグループ企業から買うことはできるが当然プレミアムがついて価格は高騰している。コネがない日本など中国国外の企業では購入すらお手上げだろう。

 なんせ北朝鮮人ですら購入するのが難しくなり北朝鮮側は、空路利用を各代理店へ推奨している。

 だが、中国企業とコネがない中国国外の旅行会社でも国際列車チケットを購入する方法は残されている。

 それは、北京発や瀋陽発など丹東発以外の場所で国際列車として購入する方法である。実は丹東と平壌を結ぶ国際列車は、前日の午後5時27分に北京を出発し、午後7時3分天津、深夜3時20分瀋陽、翌朝7時20分に丹東へ到着する(すべて予定)。このまま国境を超えて北朝鮮へ出国する場合は、一旦、下車して、出国手続きをする必要がある。午前10時に同じ車両で丹東を出発して平壌へと向かう。

 多くの国際列車を利用する旅行者は、丹東から乗車するが、鉄道好きは北京から24時間の鉄道の旅を選ぶ人もいる。


North Korean Locals on a Train

 このくらいの速度で駅を通過するので対面の乗客やホームの北朝鮮人がよく見ることができる。これも国際列車での鉄道旅行の醍醐味と言える。

同じ車両だが国内線列車扱いなら安い

同じ車両だが国内線列車扱いなら安い

丹東-平壌の国際列車も週2、3本存在し丹東発なので地元旅行会社以外の一般寝台ゲットが難しい

 丹東以外から乗車するチケットであれば日本の旅行会社でも購入はできるようだが、問題はある。まず、国際列車として購入すると非常に高額であること。同じ鉄道を中国国内列車として「Trip.com」で検索すると、国際列車の一般寝台車席相当が、4099円、高級寝台車席相当が、6246円となっている(12月14日現在)。

 これが国際列車扱いで購入すると数倍に跳ね上がるという。同じ車両、同じ席にもかかわらずだ。さらに問題は、北京からは14時間近くもかかるので身体的負荷が大きいことだ。では、乗車時間が最短で済む瀋陽発でと考えると深夜3時と中国慣れしていないとかなり厳しい時間帯となる。旅行会社のフォローも大変になるので、代理店は瀋陽発もあまり乗り気ではないようだ。

平壌行き国際列車は購入困難だが丹東・北京行きは簡単に買える謎

 丹東発の国際列車はこのような状態となっている。しかし、戻りである平壌発の丹東行きの国際列車は、行きと同じ原則で出発地に裁量が与えられているので、北朝鮮側に販売権があり、中国以外の旅行会社でも購入することができる。不思議なことに行きは取れないのに平壌発は以前と変わらず比較的に簡単に確保できるという。

 一体、行きに国際列車を利用した中国人旅行者たちは、どうやって帰国しているのだろうか。実に北朝鮮と中国らしい不可思議な現象である。

 新型コロナウイルス感染が収まり、中国への渡航ができるようになれば、北朝鮮も外国人観光客の受け入れを再開するだろう。現時点では、その時期はまったく不透明ではあるも、再開したときに昨年と同じような状態。つまり、丹東発の国際列車チケットが買えないという状況が継続しているのだろうかに注視していきたい。

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