英語は語学ではなく旅を楽しむ意思疎通のツール

英語は語学ではなく旅を楽しむ意思疎通のツール

ベトナム中部の古都ホイアン。江戸時代にここに渡って来た日本人もいるが、その時代は特に外国語を話せる人が少なかっただろう

 近年、10代や20代前半の若い人があまり海外に行かなくなっているという。日本人は事前に計画を立てることが当たり前で、そのさいに現地人と意思疎通をどのように取るかを考えてしまい、尻込みをするケースも少なくない。特に英語ができないことにコンプレックスを持っている人もいる。

 英語は高校や大学受験に必須のため、日本では学校で習う英語は基本的には受験向けのものになってしまう。そのため、会話力よりも文法などが重視され、結果、多くの日本人が英語を語学と捉えてしまい、より敬遠しているのではないだろうか。

 しかし、英語は言葉であり、あくまでも意思疎通のツールに過ぎない。言葉ができなくても、ある程度ジェスチャーで本来は事足りる。たとえば、飲食店でホテルの宿泊料金を聞く人がいないように、文化や人種を問わず、あるシチューエーション内では話題はだいたい同じだ。だから、それほど心配する必要はない。

英語力ランキング上位の韓国人でもできない人はできない

英語力ランキング上位の韓国人でもできない人はできない

ナンのノボテル上にあるルーフトップバー。場所も高いが、料金も高い

 国別に英語力をランキング付けしているEF英語能力指数では、2019年度ランキングで日本は100か国中53位だった。残念ながら英語力が低いグループに分類されてしまっている。一方、日本人に人気の渡航先ベトナムは日本の1つ上の52位だ。しかし、ベトナムは話せる人と話せない人の落差が大きく(そもそもこの指数に正確性があるのかは賛否ある)、ハローすらわからない人も多い。つまり、ベトナムだと、現地に行っても英語がそもそも通じないところが多いのだから、こちらの英語力もあまり関係ないという話になってくる。

 同指数で韓国は37位だった。確かに英語の上手い韓国人は多い。しかし、ベトナムで出会った韓国人の中には英語があまりできない人も少なくなかった。ホーチミンで出会った40代半ばの韓国人男性はベトナム在住10年以上とのことだったが、ほとんど会話が成り立たないレベルの英語しか話せなかった。

 また、中部ダナンにある「ノボテルダナンプレミアハンリバー」のルーフトップバーでは20代と見られる韓国人カップルがドリンクを注文するだけにかなり手間取っていた。さすがにホテルともなればベトナム人従業員の英語力は堪能なレベルだ。しかし、韓国人の方があまり上手くなかったようだ。

好奇心で海外へ飛び出し外から日本を眺めてみてほしい

 インドの奥地の両替所ではパスポートという単語すら分からないイタリア人がいた。タイではハローが言えるだけでありながら、通訳を買って出るタイ人もいる。

 結局、英語ができるかできないかに関わらず、外国ではどうにか上手くいってしまうのである。先のイタリア人はパスポートの意味すら分からないのにインドの奥地に辿り着いているのだから。

 だから、日本の若い人も英語力など気にせず、好奇心で海外に飛び出してほしいと願う。海外から見た日本は国内で見る日本とは違って見え、知識や経験の幅が広がること間違いなしだからだ。

高田 胤臣
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(共書)、『バンコクアソビ』、『ベトナム裏の歩き方』、近著『亜細亜熱帯怪談』(監修)丸山ゴンザレスなど。
@NatureNENEAM

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