夏休みの旅行需要を獲得するため各旅行会社が力を入れるフェア

夏休みの旅行需要を獲得するため各旅行会社が力を入れるフェア

初日の平日にも関わらず、スタートは好調だった日本旅行エリア

 毎年2月ごろと8月ごろに開かれる「タイ国際旅行フェア(TITF)」が、2020年の初回は1月16日から19日の4日間で開催された。例年よりも少し早い時期であることと、前回の8月から、これまでの都心部の会場の建て替えにより郊外にある「インパクト・ムアントンタニー」に移転しており、ほぼすべての出展者が参考になる事前データを持ち合わせないという、手探りの中での開催となった。

 タイの夏休みの直前開催ということもあり、どの旅行業者も毎年2月の方に力を入れる傾向にある。中には出展は2月だけに絞るところも多く、今回も前回の8月よりも来場客数に期待があった。しかし、会場が郊外になり、地下鉄駅と直結だった前会場とは違う点など予測できない部分も多い。昨年2月の開催では、およそ45万人の来場者があったとのちに運営側の発表があったが、どこまでその数字に迫るかが出展者の最大の関心事だ(記事執筆時点では集計結果の発表はまだない)。

圧倒的に多い日本旅行・観光関連ブース

 今回の初日はタイの学校の休みと重なったため、家族連れなどが見られた。しかし金曜日は例年の平日並みに来場者が少なく、土日はブースによって来場者が多かったところ、少なかったところに分かれ、出展場所が明暗を分けていた。

 近年のTITFは、2013年ごろから続く日本旅行ブームも手伝って、日本旅行のパッケージ商品や個人旅行向け商品を販売する旅行代理店がほとんどになる。

 一部では、中国やその他の国向けの商品、タイの宿泊施設も出展するが、一番盛況なのは、日本政府観光局が押さえているジャパンブースだ。日本の旅行代理店や宿泊施設、公共交通機関、観光協会、小売店などがそのブースを間借りする。一部の企業などは自社で主催者に申し込みをして場所を押さえるが、ほんの数社程度しかなかった。

K-POP好きのタイ人も韓国には行かない

K-POP好きのタイ人も韓国には行かない

韓国旅行はタイ人には見向きもされていなかった(中央から右奥)

 日本以外では台湾やマレーシア、フィリピン、インドネシアなどが大きなブースを出していたが、韓国の観光局といった政府系のブースは見られなかった。タイではK-POPや韓国ドラマが人気ではあるものの、タイ人から渡航先としての人気はあまりない。一部の旅行代理店が韓国旅行の商品を販売していたものの、タイ人来場者はあまり見向きもしない。

 おそらく、2019年4月ごろにわずか数日でおよそ400人のタイ人観光客が不法就労を疑われて入国拒否されたことなどが関係していると考えられる。韓国の入管はわりとタイ人に厳しく、時折入国拒否が増加してタイ国内で批判される。

 それであれば、比較的安全に入国できる日本を選ぶといったところだ。タイ人来場者の20代女性に話を聞くと、 

 「今、海外旅行は断然日本がいい。もしそれ以外なら中国に行きたいですね」

 と言う。中国のドラマなどもタイでは放映され、成都や西安といった歴史に関係する都市に興味を持つタイ人は意外に多い。中国人観光客の横柄さに辟易し、一方で韓国のエンターテインメントや製品には注目するタイ人だが、旅行に関しては真逆のようである。
 

高田 胤臣
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(共書)、『バンコクアソビ』、『ベトナム裏の歩き方』、近著『亜細亜熱帯怪談』(監修)丸山ゴンザレスなど。
@NatureNENEAM

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