入国停止は感染病などによる不可抗力によるもの
入国停止は感染病などによる不可抗力によるもの
北朝鮮は22日から中国武漢発の新型コロナウィルス感染予防を理由に外国人観光客の入国を全面停止。その旨を中国や日本など世界中の旅行代理店へ北朝鮮時間22日午前に通達している。
通知内容は、
通知
最近、中国で発生している新型コロナウィルスによる肺炎が急速に拡大している。そのため、(北朝鮮は)2020年1月22日よりワクチンの生産および予防措置が確立されるまで朝鮮旅行受け入れを全面的に停止する。以上の旨を通知するものである。
今回の対応は、感染病などによる不可抗力によるもので、貴社ならびに朝鮮旅行を申請している旅行客に多大なるご不便をかけることに対して私たちは深い遺憾の意を表する。
なお、朝鮮旅行が再開されたらすぐに通知する。
私たちに対する貴社のご理解、ご協力にまことに感謝を申し上げる。
朝鮮国際旅行社 社長(氏名と社印)
2020年1月22日
一般的に中国語の公的文章は、文頭2文字落としで書かれるのであるが、日本語へ意訳するに当たり1文字落としへ校正した。
北朝鮮旅行会社にとっても寝耳に水
今回は観光業の側面から入国停止処置を考察してみたい。
「朝鮮国際旅行社(KITC)」を始め外国人を担当する国際旅行社では、1人でも多くの外国人観光客をインバウンドとして受け入れることを至上命題とされているはずだ。しかし、当然ながら今回の処置は、北朝鮮政府クラスが決定を下しているため、KITCとしても寝耳に水で、21日あたりに急ぎ通達文を作成したと想像される。
北朝鮮では、過去2003年初頭にSARS、2014年12月はエボラ出血熱対策でも同じように観光客の全面入国停止を実施している。
旅行会社やホテル、飲食店、観光地、土産物店など観光関係者は入国停止に反対であるのは当然であるが、朝鮮人民軍が国境や国内の治安維持を理由に入国停止を求め決められたと言われる。今回はどうであろうか。
観光シーズンが始まる3月までに観光客受け入れ再開か?
2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)のときは、前年の2002年春が「アリラン祭」初年度で、後々まで21世紀最高人数の日本人観光客が訪朝した年でもあるが、その年の9月の小泉訪朝で状況が一変、北朝鮮側が拉致を認めたことで日本の世論の風向きが大きく変わり、2002年秋以降、日本人訪朝者は激減する。2003年以降は、年間100人前後で2017年まで推移していくことになる。
そのため2003年は日本人訪朝者が少なく、また中国人旅行者もそれほど多くなかったことから北朝鮮のSARS対策での入国禁止は世界的にあまり話題になっていない。
北朝鮮が観光業での貴重な稼ぎを放棄してまで全面入国停止にしたのは、万が一、新型コロナウィルスによる肺炎患者が北朝鮮国内で発生して感染が拡大してしまったら、現在の北朝鮮の医療設備では治療ができないということを示しているとも見ることができる。
現時点での情報では、今回の新型コロナウィルスは、エボラ出血熱ほどの感染力はないと考えられることから、旅行代理店では、北朝鮮の観光シーズンが始まる3月までには受け入れが再開されるのではないかとの見込みをKWTへ示す。
なお、今回の対応は、外国人観光客が対象となるので、商用ビザを持つ出張者や貿易商、駐在員などは対象外となるも、外国人全体の割合からすればほんの一握りとなる。
[天下财经]防控新型冠状病毒感染肺炎疫情 湖北武汉:记者探访发热门诊| CCTV财经
情報統制されている国営「CCTV」の映像でこの状況なので、実際はもっと深刻な状況であることが推測される。