理由不明で全面停止された日本人向け新義州単独ツアー
理由不明で全面停止された日本人向け新義州単独ツアー
5月2日に掲載した「3年ぶりに日本人向け新義州日帰りツアー再開で北朝鮮への最短旅行が復活」から続報を報じていなかったので一部で誤解を生んでしまったため、少し時間が経ったが続報と最新の観光状況を踏まえた新義州ツアー情報をお伝えしたい。
実は、日本人向けの日帰りや1泊2日の新義州単独ツアーが解禁されてから3週間足らずの5月中旬には再び停止している。
日本人向け新義州ツアーは、丹東の大手旅行会社が1社独占で手配していたのだが、丹東の旅行会社担当者へ停止理由を聞いても、北朝鮮から何の説明もなく不明とのことだった。
中国人は当日飛び込み訪朝も。パスポートもビザも不要な新義州
日本人の新義州ツアー希望者の入国審査書類や写真を提出しても新義州側の担当者からは「今は手続きができない」という回答がしばらく続き、明確な理由が告げられることなく全面停止された。
中国人向けの日帰りや1泊2日の新義州観光は継続されている。中国人は、パスポートどころか、ビザすらも不要なため当日申込みでも「飛び込み訪朝」ができる。
飛び込み訪朝は、日本人では逆立ちしても実現しない究極のウルトラCとなる。
中国では一部の公務員は個人のパスポートを持つことが認められていない業種が存在する。そんなパスポートを所持することが認められない中国人にとっては、新義州や羅先(ここもパスポートやビザが不要)などは、家族で念願の“なんちゃって”とはいえ、海外旅行ができる貴重な場所となっている。
中国人向けの新義州ツアーは、これらの中国人たちのニーズをガッチリと掴んでいるように思える。
朝鮮半島と中国大陸を結ぶ国境都市として鉄道とともに発展した新義州
新義州は、1906年に開通した京義線の終着駅として新義州駅が開業し、日韓併合後の1911年に新義州と中国安東(現 丹東)を結ぶ鴨緑江橋梁(現 断橋)が完成し、朝鮮半島と中国を結ぶ鉄道が開通した。これにより釜山から北京やモスクワ、さらにパリまで行ける朝鮮半島からヨーロッパへ直接乗り入れられる巨大鉄道網への一歩となったわけだ。
新義州は、新義州駅を中心として発展した歴史を持ち、対岸の中国、のちの満州国への入り口として交易だけでなく、工業でも大いに栄えた国境都市だ。今でも新義州にゆかりがある日本人が「故郷」を訪れてみたいという希望が旅行代理店へよく寄せられるそうだ。
繰り返しになるが、現在でも新義州を観光できないわけではない。先に平壌へ行き、平壌経由であれば新義州も観光することができる。そうすると最短でも2泊3日以上が必要となる。
さらに以前と変わった点を最近になり確認できた。
(続く)