身分を偽って北朝鮮旅行する人が多い
身分を偽って北朝鮮旅行する人が多い
今年から北朝鮮旅行を希望する学生へ身分証提出が始まったが、来年からは社会人向けの在職証明提出が始まるかもしれない。
中国を訪れている観光総局関係者によると、身分を偽って北朝鮮へ入国する観光客が後を絶たたないためだ。
現在、日本人向けの一部の旅行代理店のみで行われている在職確認が学生以外の全訪朝希望者に対して実施される可能性があるというのだ。
現在、北朝鮮へ観光入国するときの申込みには、勤務先、所在地、電話番号、業種、役職などを日本語と英語で記載することを求める旅行会社が多い。もしかすると、そこへさらに在職証明提出が加わるのかもしれない。
非会社員はどうすれば在職証明できる?
ここで問題となるのは、正社員等で社員証が提出できる場合はまだいいが、派遣社員やフリーランス、フリーター、個人事業主、代表1人のみの小規模事業者、個人投資家など在職を証明する資料がない人はどうするのだろうか。今や組織に属せずに働く人も珍しくないので全員が全員、在職を証明するものを出すのは難しい状態なのではないだろうか。ましてや退職者など提出しようがない。
そうすると、考えられるのは名刺だが、名刺なんて簡単に偽造できるから証明にはならない。あとは、給料明細や支払い証明書などで代用することも考えられる。しかし、それらは、複数ある仕事先からの報酬であったりで、必ずしもその会社に属している証明にはならい。
専業主婦や家事手伝いが存在しない北朝鮮
専業主婦や家事手伝いが存在しない北朝鮮
もっとも、在職証明が必要なのは、観光入国者に限るとみられ、親善や取材訪問などは、事前に北朝鮮側からインビテーション(招待状)を受けての手続きとなるため該当しないと思われる。
これまで、勤務先に「専業主婦」や「家事手伝い」と書く女性もいたが、北朝鮮には専業主婦や家事手伝いというものが存在しないためイメージできず困るらしい。最近では、男性でも、専業主夫や家事手伝いで申請する人もいるらしく、手配をする各代理店へ確認するように求められて苦慮しているという話も耳にする。
各代理店へもっと事前精査を強化するよう要請
組織に属せず、でも起業せずに収入を得るフリーランサーは中国でも増えている。
「組織に属せずに稼ぐって言葉で説明されれば分かるものの全員労働者が原則の朝鮮には、そんな人は存在しないので、さっぱり分からないと思われます。ましてや、男性で、家事手伝いなんて彼らの理解の範疇を越えているでしょうね」(中国朝鮮族の貿易商)
結局、査証に書かれた家事手伝いの朝鮮語での職業は、家庭内労働者。あくまで労働者という扱いで処理したようだ。
9月上旬に代理店に対して訪朝希望者の身分、人間性をしっかりと確認して、問題がある者は断るなどしっかりと精査するようにと連絡があったそうだ。しかし、1民間企業の調査力などたかが知れており限度がありそうだ。