ガイドへのチップが習慣化。中には聞かされず訪朝する日本人も
北朝鮮旅行では、いくつかユニークな習慣が定着している。その1つがガイドや運転手へ渡すチップの習慣だ。日本同様にチップの習慣がない中国人も慣習に従いチップを渡している。中国人は個人での旅行ではなく、団体旅行がほとんどなので、同行する添乗員が旅行者から集めてまとめて渡しているため1人あたりのチップ負担は少額となる。
このチップの習慣について手配代理店によっては旅行者に対して事前説明をしていない旅行会社も存在しているようで、最終日にガイドから請求されて相場が分からず1人1万円をチップとして渡したという日本人の話もある。
ガイドはチップを渡さないと最終日、確実に「チップをください」と求めてくる。チップの相場は、ガイド1人1000円×2と運転手1000円の合計3000円となる。リピーターや同じガイドを指名した人はそれより少し多めに払う人もいる。いずれにしても多すぎる額を渡すと相場を崩すことになるので注意してほしいと旅行代理店は話す。
北朝鮮旅行では千円札が大活躍
北朝鮮旅行は、ガイドとの関係で旅の満足度や目的達成率が大きく左右される。つまり、チップはいい滞在をするための投資とも言えるのだ。さらに、これは習慣化していないが、ガイドたちへの土産を渡すことも手配代理店によっては勧めている。中には、具体的にこれが喜ばれるなど細かなフォローアップをしている旅行会社もあるのでぜひ相談してみてほしい。
北朝鮮旅行では、前出のチップのように日本円の1000円札が活躍する場面が多い。他には「主体思想塔」の展望台へ上がる特別観覧料、金日成主席と金正日総書記の銅像がある万寿台への献花代、「玉流館」の冷麺(3000円から5000円)など、ちょっとした買い物や追加料金で1000円札は活躍する。ただし、お釣りは日本円の硬貨ではなく人民元で戻ることが多い。
そのため、これまで旅行代理店は、1000円札を多めに持っていくように旅行者へ伝えてきた。それがこの夏、少し変化が出始めている。
日本円ではなくユーロでのチップを求められるように
日本円ではなくユーロでのチップを求められるように
8月や9月に訪朝した人によると、ガイドにチップを1人1000円渡すと、申し訳なさそうに、「もしできれば、ユーロかドルでもらうことはできないでしょうか…」と言われたそうだ。
その理由は、ガイドたちが日本円を両替することが難しくなっている背景がありそうだ。外国人は、ホテルや百貨店にある外国人向けの両替所で、日本円からユーロや人民元へ両替し、マスゲームの観覧料などオプション料金を現地で支払っている。
当然ながらガイドたちは、北朝鮮人向けの両替所、あるいは闇両替で日本円を朝鮮ウォンへ交換しているのだろうが、日本円が交換しづらくなっていて不便ということだ。
何かしらの変化の結果なのか、現時点では不明であるも今後、旅行代理店のチップについての説明が変わるかもしれない。