東京-沼津より近い延吉-羅先
昨年秋、中国延吉を中心に活動する中国朝鮮族の企業経営者ら20人が北朝鮮の羅先へ現地視察も兼ねてグループ旅行をした。
北朝鮮側との太いパイプも持つ朝鮮族なので一般の観光客とは違った場所などを視察したようだが、どちらかと言えば視察目的よりもメンバー同士の親睦を深めることに重点を置かれた慰安旅行といったと感じだった。
延吉から羅先まで直線距離にして約95キロメートルなので、東京から沼津よりも近い。
まさに小旅行感覚だろう。
羅先は新鮮な海産物が名物
最終日の夜は、賑やかな宴会が開催された。羅先は、新鮮な海産物の宝庫としてよく知られている。
中国の大連や旧満州国(現在の東北3省)の人たちは日本人の影響もあり中国では一般的にはあまり好まない海産物を好む傾向が高い。
朝鮮族20人のご一行も新鮮な海産物を今の延吉と比べても格段に安く食べられるので楽しみにしていたようだ。最終日で気持ちが緩んだのか、「時価」メニューを注文し始めた。
時価の正体はウニだった。そのままパカッと割ってちょっと醤油をさしたり、好みでワサビで食べたりする。食べ方は日本とほぼ同じだ。
一行は食べ始めたら止まらなくなり、テーブルには大量のウニの殻が積まれていった。
時価のウニを食べまくった結果90万円に
時価のウニを食べまくった結果90万円に
当然、別注文のウニは追加料金が必要なので、いい気分になったところで会計をすると真っ青になる。
ウニを中心とした追加注文の代金が、6万元(約90万円)。1人あたり3000元(約4万5000円)になってしまったからだ。
ウニは超高額だった。
価格交渉をするも減額はほとんどされず、一行は、1人3000元を支払った。現金を持っていない人は他のメンバーから借りて支払ったという。
3000元というと、中国の地方都市だと大卒の初任給よりも高い。日本だと20万円くらいに相当する金額だ。中国でも1食3000元もするレストランなんて、なかなかないだろうから高い勉強代になってしまった。
頼む前にガイドへ価格確認の要徹底
これは北朝鮮側が騙したとか、ガイドが不誠実なことをしたわけではない。気が大きくなって北朝鮮の時価なんて安いだろうと高を括り価格を確認しなかった中国朝鮮族ご一行が悪いのだ。
平壌や羅先など日本人が観光しても確かに時価のメニューは存在する。しかし、ガイドから積極的に勧めてくることはあまりない。今回のようなレストランでの時価メニューに限らず追加料金を払って注文や特別観光、有料オプションとして利用するときには、必ず事前にガイドに明確な価格を確認することを徹底してほしいと旅行代理店は呼びかけている。
確認すればガイドはしっかりと金額を教えてくれる。ここで騙されたという話は聞いたことないので安心してほしい。