世界で唯一北京にある万寿台創作社美術館
世界で唯一北京にある万寿台創作社美術館
「万寿台創作社」と言えば、北朝鮮を代表する芸術集団として国内の指導者像や彫刻、建築物、絵画まで幅広く手掛け、国連制裁が強化されるまでは海外の銅像やオブジェなども手掛けていることでも知られている。
1959年に設立された万寿台創作社は、北朝鮮の一流の芸術家3000人を抱える芸術集団として知られる。そんな同社が北朝鮮国外で唯一となる美術館を運営しているのが中国の首都北京にある。
その名も「万寿台創作社美術館」。場所は、北京の北東にある798芸術区という広大な元国営企業の跡地を再利用しているアートスポットの一角にある。アクセスは、地下鉄の駅からバスとなるので、駅からバスやタクシー、北京中心部からならタクシーが便利だ。
拝観料無料の館内は絵画中心。万寿台創作社カタログ集など希少品も販売
拝観料無料の館内は絵画中心。万寿台創作社カタログ集など希少品も販売
798芸術区には、美術館やアートギャラリーの他、元々の工場設備をオブジェのようにして楽しんだり、カフェやSL(蒸気機関車)なども展示されているので家族連れて楽しめる場所になっている。
万寿台創作社美術館の入場料は太っ腹にも無料。入り口脇には、縮小版の千里馬象が迎えてくれる。館内は撮影禁止となっている。
季節ごとにイベントをやっているので多少展示内容は変わるのだが、基本的に絵画を中心した展示となる。あまり政治色が入っていない風景画や動物を描いた絵画、掛け軸、調度品などもあり、一部は販売されている。
万寿台創作社美術館の魅力の1つは館内の売店。本国でしか買えないような万寿台創作社作品カタログ集など研究者にとって貴重な資料となるようなものも買うことができる。他には、ポストカードやポスター、切手、DVD、貨幣などの北朝鮮グッズが販売されている。
万寿台作品は独フランクフルトにもある
万寿台創作社の作品は、アフリカなどの建国時の指導者像などを手掛けたことは知られているが、アジアにもあり、インドネシアやマレーシア、カンボジアなどにも存在する。先進国では、ドイツのフランクフルト中央駅から徒歩10分ほどの100年級の駅前建物群と欧州中央銀行を中心としたビジネス街の境界にある噴水がフランクフルトの街に馴染むように建っている。実はこれが万寿台創作社が作ったことを知っている人は地元の人でも少ない。
もっとも、1910年にアールヌーヴォー形式で完成した童話噴水と呼ばれるこの噴水は、元々あったものを修復したものでその作業を万寿台創作社が担当し2005年に修復を終えたものとなるため厳密には同社の建築物とは言えないかもしれない。
参考サイトによると、修理代は20万ユーロ(約2300万円)だったとのこと。ぜひ北朝鮮国外で北朝鮮文化を感じる万寿台創作社の作品を旅を楽しみながら探索してみてはどうだろうか。
No.1 Märchenbrunnen – Kultur mit QR Code in Frankfurt
参考サイト
北朝鮮の大金脈 超巨大銅像ビジネス