中国人訪朝者急増で日本語ガイドが不足?
今年、訪朝した日本人旅行者から北朝鮮人現地ガイドについての話をよく耳にする。北朝鮮観光では、1人で旅行しても10人のグループツアーでも必ずガイド2人と運転手1人の4人以上での行動となる。
もちろん、原則、ガイドは日本語を話す担当者となる。しかし、以前、紹介した今年のゴールデンウィーク連休訪朝の体験談などでも触れられているように、ガイド2人のうち1人が現役女学生で、しかも日本語が話せない中国語ガイド見習いだったなど、日本語が話せないガイドの組み合わせだったという感想がちらほら聞かれるのだ。
旅行代理店へ確認すると、中国人訪朝者が増えた影響で、引率力があるベテランガイドが扱いに苦労する中国人旅行団へのサポートへ駆り出されているのではとの見解を示していた。
ガイド自体の離職者が増えている
実際、この夏にリピート訪朝したある男性が、前回のガイドを指名したところすでに退職して在籍していないとの言われたそうだ。
どうやら北朝鮮の平壌で日本人観光客を担当する唯一の旅行会社である「朝鮮国際旅行社(KITC)」所属のガイドの離職が増えている現状が分かってきた。北朝鮮にはKITC同様の外国人向けの国際旅行社が10社以上存在するが他社も似たような状況でガイド不足が起こっている。
2003年以降、日本人の観光客の減少で日本語を学ぶ人が減り、ガイドのなり手も減っているとの見方もあるが、少なくても昨年は、日本人訪朝者が前年比3倍強、今年も昨年を上回るペースで増えているのが現実なので、辻褄が合わない感じがする。
恵まれた職業であるガイドを辞めて何を…
それでは、どうして観光ガイドの離職者が増えているのだろうか。
一般の北朝鮮人は外国人との接触が制限されていることを考えると、北朝鮮における旅行ガイドという仕事は、特殊な業務と言える。外国人と接するので海外の情報を得ることができる立場であるし、お土産や北朝鮮の物価だとかなりの価値となるチップなどをもらうこともできる。また、随行中は、直接の報酬ではないが担当する旅行者と同じホテルへ宿泊し、旅行コースに含まれる3食以外にも旅行者が酒類や食事をごちそうしたりするので飲食にも困ることはない。
中途採用でガイドになる人もいるくらい北朝鮮では外国人向けガイドという職業は、恵まれている上級職だと考えられているのだ。
外国人観光客が増えて仕事自体は増えているであろう状況で離職者が増えているとしたら、推測できるのは、より高給な仕事への転職だろう。
国連やアメリカ、日本などからの経済制裁を継続されるも着実に経済成長を持続していると見られる北朝鮮なので、経済構造が変化し、新しいサービスや業種がどんどん誕生している可能性は高い。
(続く)
Eating In North Korea 2015
ガイトとのやり取りが微笑ましい。一般人からしたら敷居が高いピザ店など高級店も案内した観光客がガイドにごちそうすることが多い。