今年3月から入国審査時の学生証提出が求められる

今年3月から入国審査時の学生証提出が求められる

今年3月から入国審査時の学生証提出が求められる

 昨年3倍ほどに増えた日本人訪朝者は今年はさらに増えると予想されている。人数が増えるとそれと比例してトラブルも発生するもので、その影響が旅行者への負担として乗っかかり始めている。

 2019年3月から生徒や学生(高校生、専門学生、短大生、大学生、大学院生)は、生徒手帳や学生証の提出が申請時に求められるようになった。一部の旅行会社では、社員証の提出も求めている会社もあり、今後、他社でも同様に社員証の提出を求めてくる可能性がある。

2つの事件・騒動の影響

 なぜ、強化されたのか。

 その理由として考えられるのは、昨年8月に起きた2組の北朝鮮での事件の影響だ。

 1つは日本でもトップニュースになった杉本氏の拘束事件。もう1つは、慶應義塾大学の現役学生らが起こした泥酔、破損行為騒動が影響しているとみられる。いずれも8月の上旬、お盆前に発生している。

 杉本氏は昨年拘束される前に羅先旅行したときにも現地ガイドともトラブルになったという情報があり、身元調査が不徹底だったとも指摘される。慶應義塾大学の学生らは、同伴者で喧嘩となった相手は東海大学の学生と申請していたが、どうも在籍自体が怪しく、虚偽申請だったのではと疑われているからだ。

社会人の身分確認厳格化の動きも

社会人の身分確認厳格化の動きも

平壌のホテル

社会人の身分確認厳格化の動きも

 昨年までは、学生も社会人も在籍する学校名、学部、キャンパスの住所などを記載すれば本当に在籍しているのかの証明となるものの提出は不要だった。つまり、虚偽申請は簡単にできたことになる。会社員でも、会社名、役職、会社住所などを提出するのみだったので、こちらも本当に在職しているかまで直接電話でもしない限りは確認できないわけだ。

 会社員なら社員証、なければ、社内用IDカード。これもなければ名刺などになるのであろうか。しかし、そうすると、組織に属さないフリーランス、社員証がないフリーター、名刺がないであろう専業主婦などはどうなのか。

 入国審査のハードルが上がるのは、純粋に観光として北朝鮮を訪れたい人たちにとっては非常に迷惑な話だろう。その意味では、杉本氏や慶應義塾大学の学生らの起こした事件、騒動の影響は大きいと言わざるを得ない。

北朝鮮観光のその年の方針は例年旧正月明けに決定される

 昨年8月の騒動の影響が今年3月スタートとなった理由は、北朝鮮の観光業の方針決定過程に関係している。

 北朝鮮のその年の観光業の方針は、例年、旧正月明けに国内外にいる各関係者を平壌に招集して会議を行い料金や新しいルールなど詳細を決めている。そのため新ルールや旅費は、新年の3月や4月スタートとなることが通例となっている。

 新しいルールや基準が日本人訪朝者増加ムードへの冷水とならないことを手配する代理店はハラハラしながら推移を見守っていることだろう。

参考サイト
慶大生が「北朝鮮ツアー」で酔って大暴れ 弁償めぐりトラブル(『デイリー新潮』)

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