渡航規制で激減していた中国人観光客が北朝鮮へ戻ってきた
2018年も半分以上が過ぎた。南北融和、史上初の米朝首脳会談を経ても米朝の微妙な駆け引きは続いている。しかし、北朝鮮を巡る緊張状態は大きく緩和し、中国政府が国際社会に同調する形で規制していた中国人の2泊以上の訪朝を解禁した結果、北朝鮮を訪れる中国人は昨年比で2、3倍に急増しているという。
北朝鮮はこの流れに乗って観光業を一気に盛り上げたいと活発に動いており、外貨獲得のための大型イベントや催し物をしかけ外国人観光客を呼び込もうとしている。
残り半年を切ったが、2018年北朝鮮年間イベントスケジュールを考察してみたい。
<1月>
・12月31日24時(1月1日の午前0時)花火大会 会場金日成広場
・12月31日18時から第2回氷祭り開催 会場 金日成広場
・学生少年たちの新年サークル公演 1月4日~1月10日
○馬息嶺スキー場オープン 1月10日~3月10日<2月>
○光明星節(偉大なる金正日総書記ご誕生76周年) 2月16日
・2月16日の花火大会
【白頭山密営で行う場合もある】
〇金日成花金正日花祭典 2月15日~18日 青年学生のダンスパーティー
・旧正月 2月16日
○朝鮮人民軍創建記念日70周年 2月8日
【多彩な記念行事や花火大会、祝賀のタンスパーティーなどで盛大に祝う】
・ボウリング大会
「2月25日賞」ボウリング競技大会 2月22日~23日 時間 10時~18時
国内アマチュア大会 1~3等にメダル、個別優勝者へカップ授与
「白頭山賞」ボウリング競技大会(プロ級)2月5日~7日
・「正日峰賞」国際フィギュア祭典 2月16日~2月17日 時間 10時~11時30分 会場 アイススケートリング 費用 現地支払い30ユーロ
【毎年恒例で開催される】
・光明星節慶祝水中ショー 2月16日~2月17日 時間 16時開始 会場 ヘルスセンター蒼光院 料金 30ユーロ
・第8回光明星節料理フェイスティバル 2月6日~9日 場所 平譲麺屋(トンイル街)
【各種料理の展示やモダン料理作り見学と試食ができる】<3月>
・植樹の日 3月2日
・民俗祭日 旧正月十五日 3月2日
【旧正月十五日お祝い体験】
・国際婦人デー 3月8日<4月>
〇太陽節106周年 4月15日
・第31回4月の春親善芸術フェイスティバル 4月11日~17日
・第1回国際声楽祭典 4月5日~11日
〇朝鮮人民革命軍創建記念日86周年 4月25日
【毎年盛大に祝う】
・「万景台賞」ボウリング大会(プロ級) 4月2日~4日
○第29回「万景台賞」平壌国際マラソン大会 4月8日 時間 9時30分スタート
・太陽節祝賀行事 第23回料理フェスティバル 4月上旬 場所 平譲麺屋(トンイル街)
・飴・ケーキ彫刻展示会 4月13日 場所 清流館
<5月>
〇メーデー記念祝祭 132周年記念
【毎年恒例、大城山遊園地で国内外の人々と国際親善を通して祝う】
・春季障害者およびアマチュア卓球大会 5月上旬 参加・観覧可能
〇第21回春季国際貿易商品展覧会 5月21日~25日 場所 3大革命展示館<6月>
・国際児童の日 6月1日
【各家庭や各地の幼稚園、託児所で祝う】
・朝鮮少年団創立記念日 6月6日
【各家庭や小中学校で祝う】<7月>
・海の日 7月12日
【東海(日本海)の麻田、松涛園、侍中湖、西海の南浦海水浴場は特に大人気】
〇祖国解放戦争勝利記念日65周年 7月27日
・「戦勝杯」ボウリング大会(プロ級) 7月18日~20日<8月>
・祖国解放の日73周年記念 8月15日
・青年節記念ボウリング大会(アマチュア級) 8月23日
〇先軍節 8月25日
・青年の日 8月28日
【各地で青年学生とのタンスパーティー体験ができる】<9月>
〇朝鮮民主主義人民共和国創建記念日70周年 9月9日
【各地で青年学生のタンスパーティーや夜の花火大会などで盛大かつ豪華に祝う】
・国際釣り愛好家競技金剛山2018 8月末から9月上旬を予定 淡水魚会場 三日浦 海水魚会場 高城港 時間 8時開始
【参加、観覧可能。参加費用必要。道具は持参も可能。現地購入もできる】
・朝鮮民族服展示会 9月中旬 会場 中央青年会館
【毎年恒例のイベント。各地方の朝鮮の伝統的な服が出品されモデルも多数出演。観覧や朝鮮服の注文、レンタルでの記念撮影もできる】
・秋季障害者および愛好家卓球大会 9月末
【参加、観覧可能】
〇第14回秋季国際貿易商品展覧会 9月17~21日 会場 3大革命展示館
・共和国ボウリング選手権大会(プロ級) 9月27日~29日
・盆祭り 9月24日
〇第2回秋季平壌マラソン大会 9月末<10月>
・敬老の日 10月1日
〇朝鮮労働党創建記念日73周年 10月10日<11月>
・母の日 11月16日<12月>
・憲法節 12月27日
・冬至小豆粥フェスティバル 12月末
〇第3回氷祭り 12月31日 時間18時開始 会場 金日成広場
〇新年の花火大会 時間 24時(元日0時) 会場 金日成広場
ここへ6月に発表された9月9日から30日まで開催されるマスゲームが加わる。
観光業の書き入れ時の夏から秋にかけては、大型イベントとしては、マスゲーム、ボウリング大会(8月23日)、金剛山での国際釣り大会(8月末から9月上旬)、 朝鮮民族服展示会(9月中旬)、卓球大会(9月末)、秋の平壌マラソン(9月末)、カウントダウンイベント(12月31日)。
これから発表される大型イベントや去年苦戦した秋の平壌マラソンへの集客動向に注目
にわかに北朝鮮の観光が注目を集め始めたのは、3月末の金正恩委員長と習近平主席の初の中朝首脳会談が行われて、中国の対北政策が目に見めて一変したころからだろう。
特にこの2、3年の北朝鮮観光の傾向として参加型、体験型のイベントが増えている。今年前半も含めるとボウリング大会と卓球大会と参加できるスポーツイベントが目立つ。9月末の今年が2回目となる秋の平壌マラソンは、昨年は、外国人ランナーが集まらず、本大会ともいえる今年の春の大会も大幅に参加者を減らしているだけに秋の大会がどうなるか注目される。
しかも、今回引用したスケジュールは、平昌冬季オリンピック前に作成、発表されたものだろうから、実際には大幅に変わっていることは想像に難くない。
「北朝鮮は突発的に大型イベントを発表することが多く、現地入りして初めて知ることも珍しくありません。9月以降にまだ未発表の大型イベントが複数あると大連駐在の北朝鮮人から聞いています」(中国大連の朝鮮族経営者)
朝鮮半島情勢の大きな変化は、北朝鮮にとっても外貨獲得へ千載一遇のチャンスをもたらしているようだ。