2002年から始まったマスゲームは13年終了。最高指導者が学業優先を指示したとされる
今年5年ぶりに北朝鮮の観光収入の大目玉「マスゲーム」が復活することが北朝鮮旅行を手配する各社から発表されてツアー募集が始まっている。
マスゲームは2002年から始まり2006年に洪水の影響で1年の中止があるも2013年までアリラン祭として開催されたイベントだ。2007年には世界最大のマスゲームとしてギネスブックに認定されている。
15万人収容できるとされる巨大なメーデースタジアムを開場に10万人が参加して1時間30分にわたる壮大な公演だ。演劇のようなストーリーがあるので巨大な芝居のように展開する。
中国大連の旅行代理店のツアー募集サイトを見ると、テーマは「輝く祖国」、開催期間は北朝鮮の建国記念日の9月9日から30日までの約3週間だが、10月1日からの中国の建国記念連休(国慶節)での集客を狙い10月1週目まで延長上演される可能性もありそうだ。
観覧料はまだ未発表だが、中止前の80ユーロから300ユーロまでの3、4種類になることが予想される。300ユーロのチケットはVIP席と呼ばれ、観覧席の中段出入り口近くのテーブル席となる。
このマスゲーム復活は2014年の中止以降、毎年のように言われてきたが、北朝鮮当局が否定してきた。というのもマスゲームへ参加するのは小学生から大学生など子どもたちも多く練習期間も長いため学業へ影響が出るとして金正恩委員長が学業へ専念させるようにと指示をしたとされてきた。それがここへ来て復活するのはどうしてなのか。そこには北朝鮮の夏の観光収益獲得に苦戦する現状が関係している。
新しい指導者の時代を象徴する夏のイベントとして始められた白頭山ツアーだったが…
新しい指導者の時代を象徴する夏のイベントとして始められた白頭山ツアーだったが…
アリラン祭終了後、20011年12月に最高指導者となった金正恩委員長の権威付けと正当性を内外へアピールするために「白頭山」血統であることを強調し始めた。そこでアリラン祭に代わる夏の定番イベントにするべく白頭山ツアーを2014年から始めることになる。
しかし、白頭山ツアーは思った以上に参加者が集まらず中止が相次ぐなど集客に苦戦した。要因として当時の北朝鮮をめぐる国際情勢も影響していただろうが、大きな要因としては、ツアー費用が高額であったことや平壌から白頭山がある三池淵空港までシャーター便となるため20人ほどの規定人数に達しないとチャーター便が飛ばず1人や2、3人で参加申し込みをすると直前で中止となる事態が発生するなど旅行者にとっては計算がし辛いツアーだったのだ。
これらの要因があり白頭山ツアーは北朝鮮当局が想定していた夏の恒例イベントとして定着せず、今年は発表されず、代わりにマスゲーム復活が決定したのだ。今回のマスゲームがどのようなテーマで上演されどのくらいの観光客が訪朝、観覧するのか注目される。
Crater lake at the top of Mount Paektu, North Korea
新たな夏のイベントにするべく白頭山ツアーが本格的に始まった2014年の40秒ほどの映像
募集中のマスゲーム観覧ツアー
大迫力のマスゲームで建国記念日を祝う朝鮮建国70周年3泊4日ツアー(9月7日~10日)
主催会社 朝鮮旅行(コリアツアーズ)