牛肉文化が30年遅れた中国
北朝鮮を旅行したある中国人が、北朝鮮へ持ち込んだビーフジャーキーから意外な発見をしたという投稿を紹介したい。
中国は、今でこそ牛肉を多く消費して、近年では日本が「買い負ける」現象が起こっているが、中国で牛肉が食べられるようになったのは1990年代以降とされる。
戦前から中国大陸は、日本と比べると肉食文化が浸透していたようだ。東北から南まで豚肉や鶏肉を多く食べ、モンゴルやウイグルは羊肉も食べていた。
戦後日本で牛肉の消費が増えた頃の中国は、大躍進や文化大革命で最貧国へ没落したため、牛肉を食べ始める機会が30年ほど遅れたと言われる。
中国へ進出した欧米飲食店1号はケンタッキーフライドチキン(KFC・1987年)であり、マクドナルドはその3年後だった。
中国では、今でもKFCがマクドナルドの店舗数をダブルスコア近くで上回る世界的にも珍しい国の1つなのは、牛肉文化浸透が遅れた名残ともされる。
豚・鶏・羊肉は目にするが…
外国人観光客として、北朝鮮ではたくさん食べることができた。私は数日間の滞在で、キムチ、冷麺、鍋、高麗人参入りの鶏ガラスープ、焼肉などを食べた。
北朝鮮の人たちは、私たち外国人にとても気を使っていて、一番おいしいものを選んで外国人観光客に提供してくれる。
外国人観光客は、北朝鮮では色々なものを食べるが、北朝鮮の現地の人たちはシンプルな粗食である。
北朝鮮では一般的にあまり肉を食べない。特に牛肉は手に入りにくい。
私は牛肉が大好きなので、北朝鮮へ行く前にビーフジャーキーを大量に買って持ち込んだ。まさかそれが役に立つとは思ってもいなかった。
北朝鮮では、豚肉、鶏肉、羊肉を食べることができた。しかし、牛肉はまったく目にすることがなかった。
高級品でありレストランにない牛肉
北朝鮮の農村では黄色い牛が畑を耕し、荷物を運ぶ光景をよく目にする。北朝鮮の農村では、牛は重要な労働力であり、個人ではなく集団所有物だ。私的な屠殺は禁止されている。
北朝鮮の庶民向けの市場では、牛肉は売られていない。外国人向けのスーパーマーケットでも牛肉を見つけるのは難しいくらいだ。
そもそも北朝鮮は、牛肉を輸入していないようだ。そのため、北朝鮮では牛肉は非常に珍しく高級品でもある。北朝鮮のレストランでは、牛肉はほとんど提供されていない。
ビーフジャーキーに興味津々の美人ガイド
私がツアーバスの車内で、ビーフジャーキーを食べていると、ガイドの目に止まったようだ。担当のガイドは、若くてかわいい女性で、活発な性格の人だった。
彼女は積極的に「何を食べているの?」と私に話しかけてきた。
私は食べていたビーフジャーキーのことをガイドへ話すと、彼女は興味津々のようだ。私はガイドのその姿を見て、ビーフジャーキー1袋をプレゼントした。
ガイドはまるで宝物をもらったかのように喜んでくれた。ビーフジャーキーを持ち帰って、家族で分け合いたいとのことだった。
このビーフジャーキーは、決して安くはなかったが、美人ガイドの笑顔にすっかりと癒やされて、それだけで価値はあったと思う。
「1度助けてあげた人はずっとその恩義に報いようとする」という昔からのことわざのように、それから数日間、私は美しいガイドから受けた配慮と温かさにとても感動した。
牛肉・果物は少ないが豊富で安い魚介類
さて、北朝鮮を出国する時にガイドに「ビーフジャーキーの味はどうだった?」と尋ねると、「非常においしかった。だけど、これから食べられないのは残念」とやや悲しげに話していた。
北朝鮮の物資は決して豊富ではない。牛肉が手に入らないだけではなく、果物も多くは手に入らない。しかし、魚介類は豊富でしかも安い。
北朝鮮を訪れる外国人は、たくさん食べることができるので、食事が足りなくなる心配はない。
北朝鮮の食事には、牛肉が出てこないので、牛肉を食べないヒンドゥー教徒には都合が良いかもしれない。
もし、あなたが食べ物に特別なこだわりやルールを持っていないのであれば、北朝鮮旅行にわざわざ食べ物を持参する必要はない。