新型コロナ直前に半減した北レス
コロナ禍により海外渡航が大幅に制限され、アジア各地にあった北朝鮮レストラン(以下、1部北レス)の状況がわかりづらくなった。
そもそも、北レスが世間的に話題となることは少ない。
最近の北朝鮮レストランの歴史を少し振り返ってみたい。
・2016年3月に韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権が、韓国人出張者や旅行者に対して「北レスへ行かないで」と異例の呼びかけ。
・2016年4月、中国浙江省寧波の北レスから北朝鮮人女性スタッフ12人と男性管理者1人の13人が集団脱走、韓国へ入国。
・2017年2月の金正男(キム・ジョンナム)氏暗殺事件で指示役らがインドネシアの北レスを密会場所に利用していたとインドネシア警察が正式発表。
・2018年1月と2019年12月と2度の国連制裁実施。
北レスは、表向きの外貨稼ぎの場だけでなく、スパイ活動の拠点などにも利用されていたことも明らかになった。
しかし、北レス自体は、政治や事件に関係しないと世間から注目されない存在だったりもする。
そんな北レスは、2度の国連制裁で最盛期の130店(うち中国が約100店)ほどの半分ほどとなったとみられる。
「ラスト北レス」ハノイの高麗レストラン
東南アジアの北朝鮮レストランは、新型コロナウイルスの流行前にほぼ消滅していた。
コロナ禍前に消滅したのは、インドネシア(2017年2月)、マレーシア(2017年2月)、ミャンマー(2019年夏?)、タイ(2019年11月)、カンボジア(2020年1月)。
タイとカンボジアでは複数店の営業が確認されていた。
他にも閉店時期は不明であるが、モンゴル、アラブ首長国連邦(UAE)の北レスも2019年12月の国連制裁履行前に姿を消している。
しかし、東南アジアの北レスは死に絶えてはいなかった。北レスファンの間で「ラスト北レス」と呼ばれる店がある。
それがベトナムの首都ハノイにある高麗レストランだ。
東南アジアに残る北レスは2店か?
高麗レストランの営業状況は、定点観測してくれる現地在住者から情報を得ていたが、今年7月と8月に日本人旅行者が同店を訪問して営業を確認している。
ちなみに、ラスト北レスと紹介したが、ラオスの首都ビエンチャンの北レスも健在であることが7月の日本人訪問者が確認している。
そのため、正確には東南アジアでは、ベトナムとラオスにそれぞれ1店ずつの計2店舗の北レスが営業していることになる。
8月、ベトナムを訪れた孫蘭貞さんが、ハノイの高麗レストランを訪れて食べた冷麺の感想を教えてくれた。