非認定の中国製ワクチン接種者も隔離免除に

非認定の中国製ワクチン接種者も隔離免除に

日本全国で見られた中国人の“爆買い”も今や昔

 6月10日から外国人観光客の入国が解禁となる。

 外務省は各国と地域を青、黄、赤の3つに区別にし、青の98の国と地域からは、入国時の検査と隔離を免除すると発表している。

 この青グループに中国が含まれている。さらには、これまで日本政府の非認定だったっ中国製ワクチンは仮に3回接種済みであっても日本では未接種扱いとされ隔離対象となっていた。しかし、これも撤廃される。

 中国製ワクチンはベトナムやフィリピン、南米などで接種した人が多く、これらの国からの中国製ワクチン接種者も隔離が免除されることになる。

 今回の解禁は、添乗員付きの団体旅行限定となるものの、パッケージツアーに強みがある中国の旅行会社はさぞ大喜びかと思ったら、顔色は険しいままだった。

 「訪日できる人は誰もいませんよ」(遼寧省大連の旅行会社代表)

 と代表は肩を落とす。

 日本政府観光局(JNTO)によると、コロナ前の2019年、訪日中国人は過去最高の959万4300人と1000万人近くもいた。

 すでに忘れかけている人も多いかもしれないが、全訪日外国人3188万2000人(2019年・JNTO)の約30%が中国人だった。

中国人の海外渡航を減らしたい中国政府

中国人の海外渡航を減らしたい中国政府

国内の団体旅行も大きく制限された状態が続く中国

 日本の外国人観光客の入国解禁後も中国人が増えない理由は3つある。

 まず、中国政府による新型コロナウイルス感染対策を名目としたゼロコロナ政策である。

 これにより外出制限だけではなく、移動制限も続いているため、出国どころから、市や区から移動する自由も大きく制限されたままだ。

 中国関係筋は、中国政府が新型コロナを利用して、習近平政権への求心力を高め、さらには、内需拡大や人民元流出防止のため、海外との往来へのハードルを上げることで、海外渡航する中国人を減らしたいという政府の意向が強く反映しているとみている。

 2つ目は、中国帰国時の長期間の自費隔離が出国を抑制させる大きな要因となっていること。

 いまだに続く上海の都市封鎖(ロックダウン)だけではなく、現在、中国各地では、何かしらの新型コロナ対策として制限が実施されている。

 上海の常軌を逸した2か月間にも及ぶロックダウンを見て中国全土の国民は震え上がり、「自分たちの街も…」とウイルスよりも中国政府へ恐怖心を抱いているという。

そもそも海外への団体旅行禁止

 上海の混乱や反抗する人たちを映した動画は検閲、削除が間に合わなったようで、SNSへ長時間掲載されて多くの中国人が目にする結果となった。

 これが影響してか、大連は4月末にこれまでの28日間(21+7)隔離が、11日間短縮されて17日間(10+7)隔離へと突然短縮された(前半はホテル、後半は自宅での隔離期間を示す)。

 関係者は、このまま隔離期間が短縮してほしい…と期待したが、5月に入り再び28日間隔離へ逆戻りした。

 「そもそも団体での海外旅行は停止されたままなので出国できません」(同)

 これが3つ目で決定的な理由となる。

 省や北京などの直轄市により異なるが、現状、市や省を越える団体での国内旅行も禁止されたままで、すでに多くの旅行会社が廃業の危機に瀕(ひん)している。

 海外旅行なんてとんでもないというのが現実なのだ。

訪日客ゼロはゼロコロナ転換まで続く

 というわけで、日本が解禁しても、中国人観光客が団体旅行として訪日することはできないということになる。
 
 「団体旅行の出国は許可されてませんが、個人なら出国できるので、一部の金持ちは、個人でビジネス目的扱いにして日本へ行っています。彼らは中国へ戻らず、そのまま日本にいる人が多いようです」(同)

 いずれにしても6月10日の解禁で中国人観光客が戻ってくることはない。

 仮に日本が、中国人の個人旅行解禁へ緩和したとしても、中国政府のゼロコロナ政策が大きく転換するまでは、訪日客もゼロ状態が続きそうだ。

 よって、1日の入国上限2万人の制限があるが、959万人の中国人インバウンド復活を期待していた観光業関係者は落胆することになりそうだ。

 その一方で、中国人観光客が増えることを快く思っていなかった日本人にとっては朗報と言えるかもしれない。

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