3月からアジアの入国規制の緩和・撤廃が進む

3月からアジアの入国規制の緩和・撤廃が進む

外国の規制緩和も進んでいるため、東南アジア人の海外渡航も増えてきている

 新型コロナウイルスの水際対策は、欧米が比較的早い段階で外国人の入国に門戸を開けていた一方、アジアは厳しい規制が続いていた。

 しかし、今年3月から段階的に緩和や各種規制の撤廃が進んでおり、海外旅行も徐々に可能な段階に入りつつある。

 日本は4月1日に感染危険地域のカテゴリー分けを緩和したため、3回のワクチン接種を条件に入国時の自主待機期間が免除になった。

 韓国はワクチン未接種者でもビザを取得すれば入国が可能。ただし、未接種者は隔離期間7日間が義務付られる。同時に入国時には48時間以内のPCR検査による陰性証明書も必要だ。

 国によってまちまちだが、72時間以内という時間制限が多い中では48時間以内というのは、やや厳しい対策と言える。

3月15日から条件なしのコロナ禍前に戻ったベトナム

 東南アジア各国は違反者に対し刑罰の対象となる規制などが実施され、より厳しい対策を行ってきた。

 しかし、その対策も決して成功していたとは言えず、日本と比較して人口比では国内感染者数が高止まりをしている状態が今も続いている。

 その一方、現実的に観光収入や外国企業の誘致による外貨獲得の割合が大きい東南アジア各国政府は、規制による経済的打撃を避けるべく、感染者や死亡者数の高止まりの中で一気に規制緩和が始まっている。

 国内感染者が特に多く、国内の規制各種も異様なまでに厳しかったベトナムは、特にそのかじの切り方が極端だ。

 外国人の入国を可能な限り拒んできた中、3月15日に観光客の受け入れを再開。

 ちょうど2年ほど外国人観光客の受け入れを完全拒否してきたが、72時間以内のPCR検査陰性証明を提出すれば、ビザも不要で隔離もなしの実質的にコロナ禍以前の入国条件にいきなり戻った。

事前の陰性証明取得も不要となったタイやカンボジア

 東南アジアでいち早く観光客受け入れを再開したのはタイだ。

 2021年11月時点ですでに観光客受け入れが再開し、一時オミクロン株の蔓延で停止になったものの、現在はワクチン未接種者でも観光入国が可能だ。ただし、未接種者の場合は5日間の隔離義務がある。

 2022年4月1日からは、PCR検査は入国時に実施されることになり、陰性証明書を出発国で取得する必要はなくなった。

 そのほか、カンボジアは昨年11月からワクチン接種者の隔離期間は撤廃。今年3月中旬からPCR検査陰性証明の提出も不要になった。

 一部の空港でのみ外国人入国を認めていたインドネシアは、PCR検査陰性証明と入国時のPCR検査が陰性であれば隔離なしへと3月23日からなっている。

中国シノバック製ワクチンを除外するマレーシア

 東南アジアでも先進的な国であり、かつ規制も厳しかったシンガポールとマレーシアも規制緩和を実施している。

 シンガポールは、国内のマスク着用を義務から任意に引き下げ、入国も4月1日からワクチン接種が完了していれば隔離が不要になった。

 マレーシアは、シノバック製(中国)ワクチン接種者や60歳以上は、ブースター接種が未完の場合に接種未完了とされるものの、4月1日から旅行者受け入れを再開。

 政府のアプリをスマートフォンにインストールしたワクチン接種完了者は、48時間以内のPCR検査陰性証明の提出および入国24時間以内の検査で陰性が証明されれば、入国時隔離が不要になった。

 また、シンガポールとマレーシアの国境も全面的に再開し、出入国時の検査と隔離も不要で、同国民は自家用車での往来が可能になる。

日本と韓国はアジアではいまだ規制が厳しい

 東南アジアは、経済対策にかじを切った形になって、韓国、日本がむしろ厳しい規制を実施している状態になっている。

 多くの国がワクチン接種を2回で完了とみなす中、日本は3回と特に厳しく、外国人や日本人帰国者からはことさら不評だ。

 なお、当記事の状況は、執筆時点の各国の大使館や日本外務省の情報などを参照にしている。

 東南アジアは、特に規制の強化や緩和の実施が素早いため、実際に渡航を検討する際は最新情報を入手することをお勧めする。

高田 胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコクアソビ』(イースト・プレス・2018年)、『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(彩図社、2019年・皿井タレー共書)、『ベトナム裏の歩き方』(彩図社、2019年)など、近著『亜細亜熱帯怪談』(晶文社、2019年・監修丸山ゴンザレス)。
@NatureNENEAM
在住歴20年が話したい本当のタイと見てきたこととうまい話と(note)

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