スマホの普及で悪い外国人が増えている?
現時点では、新型コロナウイルスの悪影響もあり、多くの国が外国人の受け入れや行動制限をしている。
これはコロナ禍以前の話。または、そう遠くないどの国も行き来がしやすくなってからの話になるが、スマートフォンを利用して、特にどこかの組織などに属せずに“悪いことをして稼ぐ”外国人観光客が世界中にいる。
日本国内でも違法薬物の売買や特に女性においては、売春などが行われているという。
もちろん、すべての外国人観光客ではなく、ほんの一部に過ぎないが、チャットアプリやマッチングアプリと呼ばれるコミュニケーションツールを使用し、本人が自ら個人的に顧客を探していると言われる。
個人で活動していて、ある程度まとまったグループになっておらず、また、女性だけでなく、同性愛者向けに男性もいるなど様々な性的嗜好に対応できるというある意味柔軟さを持ち合わせている。
プロフや画像内に目的や金額が隠されている
こういった事情に詳しい人に話を聞くと、「アプリは普通に連絡を取り合ったりするために配信されているものですが、売春目的などは、いくつかのポイントを見ることで判別できます」という。
たとえば、プロフィールの書き方、画像内の何らかのサイン、メッセージ内の用語などだ。
まったく知らない人には、それとはわからないけれども、ネットで使い方を少し勉強すれば、それらが意味するところはすぐにわかるようになるという。
そこにはサービス料や時間、ホテル料金が含まれるか否かわかる。
スマホが普及する以前、あるいは、2000年代初頭までは、たとえば、東京の新宿歌舞伎町などには、外国人女性が立っていて、男性から近寄って交渉し、近くのホテルに向かうということはあった。
こういった街角に立つ外国人は、主に組織的なグループに属し、最初から売春目的で日本に入国していたようだ。
ITやスマホのおかげで立っての集客が不要に
2000年代初頭に歌舞伎町に立っていたタイ人女性に話を聞くと、「部屋も場所も日本人が用意してくれたので、入国してからそこで暮らしている」と話す。
ただ、その女性は、(話を聞いた時点で)すでにビザが切れた状態の不法滞在で、周囲をかなり警戒し、同じ場所には数分だけ立ち、移動を繰り返していた。
当時は歌舞伎町の近隣住民などが結成したグループによる見回りや撲滅運動があり、2010年を過ぎて改めて同じ場所を見ると、そこに立つ外国人の姿はほとんどなかった。
実際には、いなくなったのではなく、立つ必要がなくなったのだった。
IT関連の普及が日本よりも上と言われる韓国もその1つで、2014年ごろの韓国メディアでは、売春関連の検索ワードをかけるだけで、10種類前後のコミュニケーションアプリが出てきたという。韓国国内でも一時期問題視されていたようだ。
現在は、さらにスマホの性能が上がり、以前は精度の高くなかった翻訳ツールも充実して言葉の壁が低くなり、外国でも同じことができる上、顧客側も利用しやすくなっている。
そのため、そもそも売春を目的とせず、あくまでも観光で日本を訪れ、その合間に旅費を稼ぐために客を探すという外国人も以前よりずっと増えている。
高田 胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコクアソビ』(イースト・プレス・2018年)、『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(彩図社、2019年・皿井タレー共書)、『ベトナム裏の歩き方』(彩図社、2019年)など、近著『亜細亜熱帯怪談』(晶文社、2019年・監修丸山ゴンザレス)。
@NatureNENEAM
在住歴20年が話したい本当のタイと見てきたこととうまい話と(note)