長白山駅プレオープン
10月29日、中国吉林省の長白山駅から敦化南駅までを結ぶ高速鉄道(新幹線)の試運転が始まったと中国メディアが報じた。
今回、試運転を開始したのは、瀋陽から佳木斯を結ぶ瀋佳高速鉄道(高鉄)の一部で、全長113キロ・メートルを最高時速250キロで吉林省朝鮮族自治区内を走り抜ける。瀋佳高鉄は、最高時速350キロの高速鉄道計画なので、250キロは冬季速度とみられる。
中国メディアによると、長白山駅を出発すると、永慶駅を経由して敦化南駅、さらに1駅先の敦化駅で長春と琿春を結ぶ長琿高鉄へ接続される予定とのこと。長琿高鉄へ接続すれば、長春駅や延吉駅から長白山駅まで乗り換えなしで行くことができるようになる。
韓国人観光客をターゲットに進めた長白山開発
近年、中国は中朝国境でもある長白山(白頭山)開発に力を入れている。2008年には、長白山空港を開港させ、翌09年には、当時アジア最大規模と謳う万達長白山国際スキー場などを相次いで開業させている。
これら長白山開発は、来年、開幕予定の北京冬季五輪だけでなく、その先のウインタースポーツ大国構想を念頭に計画されたものとなる。
当然ながら観光地として整備することで、外国人観光客を呼び込むことも計画されていて、特に白頭山への思い入れが強い韓国人観光客を主眼に置いていた。韓国からの直行便がある延吉や瀋陽から新幹線で、長白山を訪れる韓国人が増えることを地元観光関係者は、熱い期待を寄せてきたのだ。
しかし、2017年3月から本格化した禁韓令によって、中国から韓国への団体旅行が禁止に。韓国人の中国への心証悪化の影響もあり、韓国から中国への観光客も頭打ちとなり、減少に転じる事態となった。
加えて、2020年始めの新型コロナショックで、観光客の中国入国が禁止となり、中国の観光業は大打撃を受けることに。
人気だった龍井→白頭山→恵山見学コース
「コロナ前までは、韓国人向けに、延吉空港で出迎えて、龍井で韓国で人気の尹東柱関係の観光地を巡り、韓国人にとって聖地とされる長白山へ登り、中朝国境に沿って南下して朝鮮側を眺めつつ、中国側が高台となっているので、朝鮮の恵山市街がよく見下ろせる絶好のスポット長白へというコースが人気だったのですが…」(延吉の旅行会社)
北朝鮮の恵山と接する長白朝鮮族自治県は、1400キロ・メートルある中朝国境で北朝鮮の市街地を一望できる数少ない場所のため、現在、中国人ユーチューバーが長白を訪れ、恵山の北朝鮮人を撮影し、中国の動画共有サイトへアップロードして稼いでいることでも知られる。