放棄するも年内に受け取れるように協議継続中
北朝鮮は「COVAX(コバックス)」から割り当てられた297万回分の新型コロナウイルスワクチンを受け取る権利を放棄したことがわかった。 COVAXと連携して途上国へのワクチン接種を進める国連児童基金(ユニセフ)関係者が1日に明らかにしたものだ。
北朝鮮がCOVAXからの297万回分のワクチンを放棄した理由は、「より新型コロナウイルスの感染が深刻な国へ譲る」というものだった。
しかし、北朝鮮がワクチンを必要としていないわけではないようで、年内にワクチンが受け取れるようにCOVAXと継続的に協議を重ねているようだ。
今回、北朝鮮へ割り当てられた297万回分のワクチンは、中国がCOVAXへ提供したシノバック製ワクチンだったことが発表されており、中国製ワクチンへの根強い不信感も放棄した一因ではないかと分析する専門家もいる。
米系ワクチン提供を希望?
COVAXは今年2月、英アストラゼネカ製ワクチン199万回分を北朝鮮へ提供すると発表。5月末までに少なくても170万回分が提供される予定だったが、7月になっても北朝鮮がワクチンを受け取ったとの発表はなく、現時点でも1回分のワクチンも公式には受け取っていないとみられる。
韓国の国家情報院系シンクタンク・国家安保戦略研究所は、北朝鮮がアストラゼネカ製ワクチンの副反応に懸念を示し、米ファイザーや英モデルなどのワクチンへの交換を希望しているとの見立てを示している。
北朝鮮が放棄した297万回分、2回接種が必要なシノバック製ワクチンなので、およそ148万5000人分に相当する。この分だけで平壌市の人口の7割くらいをカバーできる量となる。
シノバックへの言及なし。中国SNSの反応
シノバックへの言及なし。中国SNSの反応
今回の北朝鮮が297万回分の中国製ワクチン受け取り放棄について、中国のSNSでも投稿されている。2日午後7時では、中国国営など官製メディアによる投稿は確認できず、個人アカウントや海外メディアによる投稿が数件程度という感じだ。
多くの投稿が北朝鮮がCOVAXからのワクチンの受け取りを拒否したことは伝えているが、シノバック製ワクチンであったことは、あまり触れていない。
「拒絶した理由はアストラゼネカ製ワクチンの副反応」「アストラゼネカが怖いんだろう」などアストラゼネカを理由に挙げるコメントが複数確認できる。
他にも「感染者が1人もいないから不要なんだろう」「お湯飲んで人参を食べていれば感染しないと朝鮮人は知っている」「この国はすごい!」「帝国主義に屈しない強国」「先に食糧を支援してあげてよ」などが書き込まれているが、中国製ワクチンに言及するコメントはすでに削除されたのか確認できない。
もし、シノバック製ワクチンを批判、疑問を呈すコメントが書き込まれたら、国家の安全を揺るがす“悪質なデマ”とされて、削除されるだけではなく個人特定されて監視下に置かれると思われる。