竹島へ続々と上陸する韓国人

竹島へ続々と上陸する韓国人

 東京2020オリンピック競技大会の公式サイトに、日韓両国が領土権を主張して争う竹島(韓国名・独島)が日本領として地図上で表記されていることに韓国世論が猛反発。ナショナリズムを刺激された韓国人が続々と竹島に上陸しているという。

 竹島は2005年に一般開放され、以来、大勢の観光客が押し寄せるようになった。竹島への旅客機の就航はない。朝鮮半島東岸の江陵や浦項からフェリーで3時間の鬱陵島へ渡り、そこから高速船に乗り換えることになる。往復所要時間は約4時間10分。

 日本海の孤島、辺境の地だけに遠くて時間を擁する道程だ。しかも、やっと上陸した竹島に滞在できる時間は30分程度しかない。それでも、苦労をいとわず多くの人々が島に押し寄せる。

外国人でも竹島に住民登録ができる

 竹島に上陸した者は、申請すれば「独島名誉住民」として登録され名誉住民票が発行される。韓国では愛国者の証として、K-POPスターや映画俳優、スポーツ選手など多くの有名人がこれを取得。韓国の領有権主張のための広報活動に一役買っているとか。

 7月3日の中央日報日本語版の記事によれば、今年3月に1243人だった竹島訪問客が、4月になると1万人を越える急増ぶり。さらに5月と6月には2万人台に。また、この両月で2144人に名誉住民票が発給されている。これで名誉住民の数は7万人を突破したという。

 この名誉住民票は、韓国人だけではなく、竹島を訪れた外国籍の者にも発給される。これまで1866人の外国人が発給を受けており、その中には17人の日本人も。留学生や観光客だというが…。

 韓国では愛国者の証となる名誉住民票だが、日本でこれを他人に見せたりすると、相手によっては「非国民!」となじられたりするかも…。くれぐれもご用心を。

2010年11月に始まった独島名誉住民票発給

 独島名誉住民票の発給が開始されたのは、2010年11月のこと。開始時の名誉住民は44人だったが、2017年には累計3万6493人に増え、さらにこの4年間でほぼ倍増。コロナ禍の大変な状況にもかかわらず、すさまじい勢いで増え続けている。

 おそらく韓国でもっとも人口増加の著しい地域だろう。とは言え、飲料水もない絶海の孤島である。本当に住めるわけではない。だから「住民」ではなく「名誉住民」なのだ。

 実際に住んでいる者は何人か。警察から派遣された約40人の独島警備隊と若干名の管理事務所職員くらいだろう。彼らも住民票は韓国本土にあるので竹島の住人とは言えない。

実際の住人は“独島守護”を引き継いだ老婆が1人だけ

実際の住人は“独島守護”を引き継いだ老婆が1人だけ

竹島の女島(東島)に建てられた警備員の基地 出典 Ulleungdont [Public domain], via Wikimedia Commons

 唯一の住人と言えるのが、キム・シンヨルさんという名の女性である。彼女は夫キム・ソンドさんとともに1991年に竹島に移り住んで民宿を営んでいた。夫は“独島守護”と呼ばれマスコミにもよく登場した人物だったが、2018年に亡くなっている。

 この後、彼女も一時は慶尚北道にある長女の家に引き揚げて暮らしていた。しかし、2019年8月には再び竹島に戻り、夫から独島守護の役目を引き継いだという。

 住人は80歳を越えるこの老女が1人だけ。もはや、限界集落を通り越した感じがある。これが7万人を越える名誉市民をかかえる竹島の真実だ。

参考サイト
Web竹島問題研究所島根県

青山 誠(あおやま まこと)
日本や近隣アジアの近代・現代史が得意分野。著書に『浪花千栄子』(角川文庫)、『太平洋戦争の収支決算報告』(彩図社)、『江戸三〇〇藩城下町をゆく』(双葉社新書)などがある。

日韓併合の収支決算報告~〝投資と回収〟から見た「植民地・朝鮮」~』(彩図社)2021年8月30日発売予定

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