前日にはカナダ人の上訴棄却で死刑維持が言い渡される
前日にはカナダ人の上訴棄却で死刑維持が言い渡される
中国遼寧省丹東市の中級人民法院(地裁に相当)は11日、スパイ罪で起訴されていたカナダ人のマイケル・スパバ(Michael P. Spavor)氏の判決公判を開き懲役11年、5万元(約85万円)の資産没収などの判決を言い渡した。
スパバ氏は刑期終了後の国外退去処分となるとカナダのバートン駐中国大使は判決後に語っている。
スパバ氏への公判前日には、同省大連市の高級人民法院(高裁に相当)にて、カナダ人男性のロバート・シェレンバーグ被告の上訴を棄却し、1審の死刑判決を維持する決定が下されている。中国は2審制のため、このまま死刑が確定する見通しとなる。
ロバート・シェレンバーグ被告は2014年、広東省で仕入れた覚醒剤222キロ・グラムを国外へ密輸しようとした疑いで大連で拘束されていた。中国政府はカナダ人の判決公判を続けて開くことでカナダ政府へ圧力をかける狙いがあるとみられる。
書き込まれるカナダ政府への批判
スパバ氏へ言い渡された懲役11年については、カナダの主要各紙が大きく伝えている。ナショナル・ポストは、各記事へコメントが書き込むことができ、14日時点で409件のコメントが書き込まれている。
いいねされたコメント順で見ると、「カナダに留学している全中国人をすぐ帰国させろ」「中国大使館や領事館を閉鎖し外交官を追放するべき」「孟晩舟(ファーウェイ副会長)を米国へ即時引き渡せ」「北京冬季オリンピックや中国製品をボイコット」など保守的なコメントへいいねが集まっているようだ。
他にも「カナダ政府は弱腰だ」「自国民を守れないトルドーは退陣しろ」「次の選挙はトルドー以外へ投票しよう」などカナダ政府への批判も確認できる。
カナダメディアは12日、トルドー首相が15日に議会下院の解散を宣言し、9月20日に総選挙を実施する見通しであると報じている。
中国政府がこのあたりのカナダ政府の動きを見据えて2人の判決公判をぶつけてきた可能性も否定できない。
各国連帯でウェイボーへ抗議投稿
各国連帯でウェイボーへ抗議投稿
マイケル・スパバ氏の判決について、中国共産党機関紙の人民日報や環球時報がSNS微博(ウェイボー)上へ投稿している。
官製投稿なので当然だが、判決を全面的に支持するコメントであふれ、環球時報の投稿へはスパバ氏やカナダを非難する6383コメントが書き込まれている。
中にはロバート・シェレンバーグ被告と混同していると思われるものもあり、「11年は軽すぎる」「極刑にしろ」などの過激なコメントも見られるが、いずれも削除されていない。
11日のスパバ氏の判決について、カナダだけでなく、ドイツ、フランス、ポーランド、オーストラリアなどの各国大使館が連帯してウェイボーアカウントで強い遺憾と抗議を示す投稿をしている。
フランスの投稿には7000を超えるコメントが書き込まれている。コメントは、フランスを誹謗中傷するもので埋め尽くされて炎上状態になっている。