9月末に書籍が中国へ到着予定
先日、輸入が止まり販売中止になっていた大同江ビールが、中国のオンラインショップで再発売されたとお伝えしたが、大同江ビールを運搬したとみられる北朝鮮からの船便輸送の話が各所から入り始めている。
北京の代理店から北朝鮮書籍を購入しているB社によると、昨年夏以降、輸入が止まっていた北朝鮮書籍物が最短9月末に輸入されると北京の代理店と通して連絡があったという。
発注している書籍や新聞、雑誌のすべてが入荷されるかは不明であるものの、8月末に北朝鮮から船便が出て、約1か月後の9月末に中国へ到着する日程で伝えられた。
B社が購入しているのは定期刊行物のため、例年11月頃に発注可能となるカレンダーは発注可能リストになかったため購入していない。
「もう8月ですし、顧客でカレンダーを欲しがっている人はいません。そもそも最初から国外向けのカレンダーは作っていなかったかもしれませんね」(B社担当者)
シンガポールなどを経由して中国へか?
北朝鮮から中国へ貨物を輸出する手段は3つある。国際列車や貨物トラックなど陸路運送。貨物船を使った海上輸送。それと航空機を使った空路輸送。
首都平壌から中朝国境の丹東へ輸出する場合は、国際列車やトラックで1、2日ほど。船便だと、陸上輸送も含め3、4日ほどで中国の港へ到着する。
そう考えると、書籍を運ぶ貨物船は1か月間も海上のどこをさまよっているのだろうか。
「我々も詳細なルートは知らされていませんが、平壌近くの南浦港を出発し、南下して台湾、シンガポール、インドネシアあたりへ入港し、積荷を降ろしたり、または乗せたりしながら、再び北上し中国のアモイ、上海、青島あたりを立ち寄りながら北京に近い天津港あたりで我々の書籍も降ろすのでしょう」(同)
北朝鮮から直行すれば2、3日で到着する距離をわざわざ複数の国や地域を経由して遠回りして中国へ入港する明確な理由は不明であるが、国連制裁や国際社会の監視から逃れるための一種のカモフラージュである可能性も考えられそうだ。
ロシア極東経由での輸入も
また、南下ルート以外にも北朝鮮の日本海側にある元山や清津、羅先経由でロシア極東へ入港して、陸路で中国へ運ぶルートも行われているようだとB社担当者は話す。
ロシアルートは羅先で生産されるかつらやつけまつげなどの工業製品などが含まれるとみられる。
現時点では、7月1日にロシアの外交官ら88人が国際列車でロシアへ出国するような特例を除き、北朝鮮とロシアを国境封鎖前まで月8便運行されていた国際列車の運行再開は確認されていない。