「道をとってテコンとするべきだ」
「道をとってテコンとするべきだ」
「テコンドーには『道』がない。道を取って格闘スポーツ『テコン』と名乗るべきだ」と語気を強めるのは、極真会館の創始者である大山倍達氏の直弟子の1人で、現在は自身の極真会館の派を率いて中国やブラジルにも支部を持つ会長だ。
会長が憤っていたのは、2008年北京オリンピック公式サイトの競技説明にテコンドーの歴史は2000年と紹介されていたからだ(数年前までこのサイトは残っていたが現在は確認できない)。
2000年前なら古代ギリシャのパンクラチオンに匹敵するわけだが、パンクラチオンは現在の総合格闘技のようなものが存在したと記録されているだけで、具体的に継承されているものではない。
修正された(?)IOCの説明
もしテコンドーが2000年の歴史を持つなら、空手どこか、さらにその元となった中国拳法をも飛び越えることになる。「偽りの歴史を作り、それがさも真実かのように喧伝することは、先人たちの歴史を冒涜した非常に無礼なことであり、道から外れた行為」と会長は憤っていたのだ。
国際オリンピック委員会(IOC)のサイトには下記のような説明がある。
歴史ある競技
テコンドーの起源は、韓国の三国時代(紀元前50年頃)にまで遡ります。新羅の戦士である花郎が武術・テッキョン(手と足の意)を発展させ始めたと言われています。
この記載21日には確認できたが、なぜか現在は表記が変更されている(キャッシュ画像を載せておく)。
競技人口8000万人超の世界1の格闘技スポーツ
テコンドーが空手の元になったと日本でもかつて教えられていたと証言するのは、神奈川で指導する現役の日本人男性コーチだ(WT所属)。
テコンドーには大きくWTとITFの2団体が存在する(詳細はその3で説明。以下、注釈がない限りはWTを指す)。
「私がテコンドーを習い始めた30年前はテコンドーが空手の元になったと教えられていました。その後、成長して自分で調べてまったくの偽りの歴史だったことを知り驚きました。さすがに今はそのようには教えていません」
テコンドーは、東京オリンピック・パラリンピックでも公式競技となっている。テコンドーがオリンピックの公式競技となったのは2000年のシドニー五輪からだ。
テコンドーは格闘技のスポーツでは世界最多の競技人口を持ち、その数およそ8000万人以上とされる。これは素直に誇っていいのではないだろうか。しかし、それだけでは満足できないのか、歴史を偽り、米国普及の際には、当時知名度があった空手を名乗り、テコンドーの名称が決まり、テコンドーとしての技術体系が完成した後も空手と称して普及活動をしていたと前出の日本人コーチは語る。