尹東柱=韓国国籍?

尹東柱=韓国国籍?

ウィキペディア日本語版の尹東柱 出典 尹東柱

尹東柱=韓国国籍?

 「尹東柱は韓国人。ウィキペディア日本語版の記載へ抗議した」と8日、聯合ニュースが伝えた。

 抗議をしたのはKWTでも取り上げた誠信女子大学の徐坰徳(ソ・ギョンドク)教授だ。国家広報を自認しており、自身の出世のためのポジショントーク全開とも言われている人物だ。

 聯合ニュースの記事では、尹東柱は日本人ではなく、韓国人だから国籍は日本国籍ではなく韓国国籍にするべきとウィキペディア日本語版へ抗議と修正を要求するメールを送った。修正されるまで抗議を続けるとある。

 この記事を読んでどこへ抗議したのかと改めて確認すると、抗議先はウィキペディアとなっている。

 この記事は聯合ニュース日本語版でも配信されているが、読んだ日本人は違和感を覚えるのではないだろうか。ご存知のようにウィキペディアは、ユーザーが共同作業で自由に更新できるオープンコンテンツである。オープンコンテンツゆえに事実と異なる説明へ修正されたり、信ぴょう性に問題があることもしばしば起こる。その度に別のユーザーが再修正するを積み重ねて成り立っているものだ。そのため「フリー百科辞典」と呼ばれるわけだ。

ウィキペディアへ抗議しても無意味

 ウィキペディアは、正しくない情報も混在していることは多くの利用者は理解しているので、ウィキペディアの情報だけを信じ込むのは危険で、他のサイトを検索するフックの1つにする程度がいいとされる。

 よって、ウィキペディアへ修正要求など出しても意味がないのだ。しかし、徐坰徳氏がオープンコンテンツであるウィキペディアを理解していないとは思えないので、話題作りのためのパフォーマンスなのかもしれない。

 ウィキペディアの記載が正しくないと思えば、さっと修正すればよい。修正はウィキペディアのアカウントがなくても誰でもできる。その修正された内容が正しくないと他のユーザーが思えば、再修正される。それがウィキペディアだ。

 事実、尹東柱は日本統治下で生まれて亡くなっているので、日本国籍は歴史的に間違いではない。しかし、説明が不足していて、やや乱暴な印象を受ける。かと言って、韓国国籍は乱暴を通り越してフェイクに近いのではないだろうか。

自称オープンコンテツだが中国政府監視下にある百度百科

自称オープンコンテツだが中国政府監視下にある百度百科

百度百科のディスカッションの1件。当時韓国は建国されていないと返信されている 出典 百度百科

自称オープンコンテツだが中国政府監視下にある百度百科

 また、徐坰徳氏は、中国の百度(バイドゥ)が運営する百度百科の尹東柱=中国国籍・朝鮮族へも抗議と修正を求めるメールを送ったとアピールしているが、百度百科もウィキペディア同様にユーザーが自由に書き込めるものだ(要アカウント)。抗議しても修正されることはない。

 そもそも百度百科は、中国国内でアクセス禁止にしているウィキペディアの代わりとして作られたものなので、オープンコンテツを謳っている。しかし、現実的には、百度百科は、中国政府の監視下にあるので、中国共産党史観に反する記載は削除され、問題があると判断された記事は問答無用に全削除される(加えてアカウント停止やIPも特定されてマークされる?)。

 百度百科の尹東柱の記事にあるディスカッションを見ると、「尹東柱は中国国籍でなく韓国国籍である」とのコメントが入っているが、それに対して別のユーザーからは、「根拠となる資料を提示して修正すればよい」と1文で返信されている。

 百度百科を擁護するわけではないが、これについてはその通りである。もっとも百度百科は、例え尹東柱の国籍を韓国と修正しても即再修正されると予想されるが…。

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