支持率低迷する文政権にレームダック化の声
支持率低迷する文政権にレームダック化の声
韓国の世論調査会社ギャラップは、5月21日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率を発表した。支持率は前週より2ポイント上昇の34%、不支持率は3ポイント下落の58%となった。
4月30日には29%と政権史上初めて20%台を記録したが、任期4年目最後となる5月1週目には30%台に持ち直している。だが、昨年7月に50%を下回って以降は、支持率の低迷が続いており、日本では文在寅政権に対して“死に体”(レームダック)という指摘が相次いでいる。
4年目終了時点では歴代1位
だが、実は歴代大統領と比較すると、文大統領の4年目終了時の支持率としては過去最高である。
直接選挙となって以降、文大統領を含め韓国大統領となった7人の支持率(4年目の最後)は次のようになっている。
88年~93年:盧泰愚(ノ・テウ)政権・・・15%
93年~98年:金泳三(キム・ヨンサム)政権・・・28%
98年~03年:金大中(キム・デジュン)政権・・・31%
03年~08年:盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権・・・12%
08年~13年:李明博(イ・ミョンバク)政権・・・32%
13年~17年:朴槿恵(パク・クネ)政権・・・5%(4年目途中)
17年~現職:文在寅政権・・・34%
(朴槿恵氏は罷免されたため、職務停止前の最後の世論調査の結果である)
4年目終了時に30%を超えているのは、金大中氏、李明博氏、文大統領の3人だけで、この時点では文大統領が僅差で歴代1位となった。
韓国の大統領は、5年間の任期終盤になるにつれて支持率が低下していくのが、なかば宿命となっているが、その中において文大統領の支持率は好成績である。
文政権再浮上の可能性も
とは言え、文政権が難しい局面にあるのは確か。韓国の世論調査機関リアルメーターが5月17日に発表した政党支持率では、与党・共に民主党が29.9%、保守系最大野党・国民の力が35.4%となった。共に民主党は9週連続で国民の力より支持率が下回っており、状況は厳しい。
一方で、韓国の世論調査会社4社が5月20日、「次期大統領にふさわしい人物」に関する合同調査結果を発表したが、これは共に民主党側が優位に立っている。
発表によると、共に民主党所属の李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事が25%(前週と同じ)の支持を得ている。野党陣営の有力候補である尹錫悦(ユン・ソギョル)前検事総長は19%(1ポイント下落)であり、差を広げることとなった。このように見ていくと、文政権や共に民主党側にもまだまだ再浮上の可能性がある。
ちなみに、盧泰愚政権から李明博政権の中で、5年目に入って支持率を30%台に回復させた者はいない。文大統領の支持率が再び30%を下回ると、いよいよ政権維持が困難となる。
八島 有佑