時事ドットコムによると、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率は34.1%となり過去最低を更新した。文大統領が所属する与党「共に民主党」の支持率も過去最低(28.1%)となっており、政権に対する国民の考え方が色濃く支持率となって現れた形だ。
そんな韓国では、来年に大統領選挙を控えている。文大統領に代わって誰が新しい大統領になるのか。予想される候補者の顔ぶれを紹介する。
知日派の前首相と韓国のトランプ。与党・共に民主党
2017年の大統領選挙から約4年が経過し、文大統領の任期も残り1年ほどとなった。そうなると焦点は、次の大統領へと移る。韓国・聯合ニュースは、新しい大統領にふさわしい候補についての調査結果を掲載した。その結果、数人の有力者に支持が集まった。その数人とは、李洛淵、李在明、尹錫悦、安哲秀、洪準杓の5人だ。
李洛淵(イ・ナギョン)氏は前首相という経歴の持ち主であり知日派である。記者として東京での勤務経験があり、対立が続く日韓関係にどう対応するのか、その手腕が注目されている。李洛淵氏は、文大統領と同じ「共に民主党」代表を務めてきたが、党の決まりで辞任しなければならないため、3月9日に辞任した。
李在明(イ・ジェミョン)氏は京畿道の知事。今年1月にKBSが行った世論調査では「次の大統領にふさわしい人物」としてトップの数字を獲得している。ただ、李在明氏はその過激な発言から「韓国のトランプ」の異名で呼ばれていることもあり、外交面の不安は拭えない。
文大統領と対立した前検事総長と17年大統領選でも争った安哲秀氏・洪準杓氏
尹錫悦(ユン・ソギョル)氏は韓国の検事総長を務めていた人物だ。尹氏は検察改革を進めていた文大統領と対立。文大統領は尹氏の停職2か月の停職処分を承認するも、裁判所がこの効力を停止して職場復帰した経緯がある。尹氏は3月4日に検事総長からの辞任を表明した。中央日報によれば、尹氏の支持率は34%となって支持率が上昇しているという。
安哲秀(アン・チョルス)氏は野党「国民の党」代表。実業家の一面も持ち、「韓国のビル・ゲイツ」とも呼ばれている。2017年の大統領選挙では文大統領や洪準杓氏(後述)と選挙戦を戦ったものの、文大統領に約2倍の差をつけられて敗北した。安氏は4月7日に投開票されるソウル市長選挙に出馬する予定だったが、野党1本化のあおりを受けて辞退している。
洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏は無所属の国会議員。2017年の大統領選挙に出馬するも敗戦。過去には保守系の自由韓国党党首を務め、北朝鮮問題に関して韓国の核兵器保有の必要性を主張している人物でもある。
一躍有力候補に躍り出た尹錫悦氏
一躍有力候補に躍り出た尹錫悦氏
いまだに大統領選挙の情勢は変化している。聯合ニュースによると、尹錫悦氏が31%で首位を守っていると報道しているが、この数字もいつどのようなきっかけで変化するか不確実である。
候補者を見てみると、個性の強そうな候補者が数人いる。選挙の結果によっては外交への影響を及ぼす可能性も否めない。米国や日本などの諸外国は、大統領選挙の情勢を注視し始めている段階だろう。
来年の今頃は新しい大統領が決まっている。私自身も、選挙を興味深く見守ろうと思う。
小林 英介(こばやし えいすけ)
ライター。Webメディアで便利グッズから政治に至るまで幅広く執筆している。現在は「ピコピコカルチャージャパン」で連載中。過去の執筆媒体は「公務員総研」「まいどなニュース」など。
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