マレーシアで北朝鮮からの報復を恐れる声
マレーシアで北朝鮮からの報復を恐れる声
28日、マレーシアのヒシャムディン外務大臣は、「北朝鮮が脅迫するなら好きにすればいい」と記者団に語ったとマレーシアメディアが報じた。
「マレーシアとの外交関係が絶たれたら、マレーシア政府は、すべての結果責任を負わなければならない」と北朝鮮が主張していることに対して、マレーシア国内で北朝鮮による武力報復などを不安視する声が上がっていることに対する説明だ。
このマレーシア国内の反応は、北朝鮮が25日早朝に弾道ミサイル2発を発射したことなどが報じられて高まった懸念だとみられる。
北朝鮮が発射した2発のミサイルは、日本海から5000キロ・メートル以上離れた場所で遠隔効果を与えたようだ。
マレーシアが予想外に断交に応じた?
21日午後4時10分に北朝鮮大使館関係者30人はマレーシアを去った。それによって両国の外交関係は断絶。その後もマレーシアメディアは、継続的に北朝鮮動向を伝えている。
「北朝鮮・マレーシア断交、両国友好に尽力したマハティールは何思う」によると、どうやら北朝鮮から断交をしたのは、今回のマレーシアが初めてだったようだ。
もしかすると、北朝鮮は断交をちらつかせて凄めば、マレーシアは妥協すると考えていたのかもしれない。しかし、マレーシアは、あっさり断交に応じて、平壌のマレーシア大使館の完全閉鎖を発表し、クアラルンプールの北朝鮮大使館に対して48時間以内の退去を命じて、粛々と断交を進めた。果たして、この結果は北朝鮮にとって予想外だったのか、それとも想定内だったのだろうか。
世界初の相互ビザなし国。2000人のマレーシア人訪朝
世界初の相互ビザなし国。2000人のマレーシア人訪朝
マレーシアと北朝鮮が国交樹立したのは1973年。マレーシアが平壌に大使館を設置したのは2003年と国交樹立から30年後だった。
マレーシアと北朝鮮の関係が注目されたのは、2009年に世界で初めて相互ビザなし渡航を実現したからだ。その後、シンガポールが世界で2か国目の相互ビザなし国となった。
ビザなしで北朝鮮へ渡航できるといっても、航空券だけ持って突然、北朝鮮へ行って単独行動ができたわけではない。日本人や他の外国人と同じく、事前予約をした上で案内人を2人以上同行させての官製ツアーでの滞在となる。
さて、最盛期でどのくらいのマレーシア人が、北朝鮮旅行をしていたのかの正確な人数は探し出せないが、2016年、中国の旅行会社が北朝鮮の観光総局関係者から聞いた話によると、年間1800人から2000人くらいだったとのことだ。
人口3100万人ほどのマレーシアの総人口で考えると、北朝鮮旅行をするマレーシア人2000人は、かなり多いと言える。