記事3連投でEUの非難決議案に反論
記事3連投でEUの非難決議案に反論
北朝鮮外務省は3月21日、EU(欧州連合)が国連人権理事会に北朝鮮の人権状況を非難する決議案を提出したことについて、「我が国に人権問題はない」などと反論した。
外務省は同日、公式ウェブサイト조선민주주의인민공화국 외무성(Ministry of Foreign Affairs DPRK)で人権問題に関連した3本の記事を立て続けに掲載。
一連の記事で、北朝鮮に対する非難を「謀略」とする一方、それを指摘している西側諸国こそが深刻な人権問題を抱えていると非難した。
EU提出の決議案は「北朝鮮が自国民の人権を侵害している」と指摘するものであり、拉致問題についても取り上げられている。
北朝鮮外務省「人権侵害は脱北者が述べた嘘」
北朝鮮外務省は記事の中で、「すべての人々が自主的権利と尊厳を十分に享受している我が国には人権問題は存在しない」と反論した。
続けて、「この人権侵害がないという事実は、我が国を訪問した多くの外国人が認めている事実である」と述べている。
ではなぜEUをはじめ諸外国は、北朝鮮に人権問題があると非難しているのだろうか。
この点について記事は、「犯罪を犯し、家族を捨てた脱北者という少数人が提供した偽情報をそのまま受け入れている」ことが原因であると指摘している。その上で、EUの決議案は、「(北朝鮮の)尊厳とイメージを傷つける政治的陰謀」と非難した。
つまり、北朝鮮側は、「西側諸国が脱北者の嘘を政治利用し、北朝鮮を陥れようとしている」と主張しているのだ。
西欧の人権侵害を指摘し皮肉で返す
北朝鮮外務省は、自国に人権侵害の事実はないとした上で、「西欧の人権侵害こそ正されるべき」とも主張している。
記事では、「西欧各国において白人至上主義と人種差別による人権蹂躙が深刻である」と指摘。
「人種や肌の色が異なるという理由だけで、暴力や権利侵害が至るところで行われており、女性に対するセクハラや性的搾取も拡大している」と問題視した。
さらに、「西側諸国は、人権保護やテロ対策という名目で軍事侵略を行い、世界中で『人権侵害の展示場』を展開している」と独特の言い回しで糾弾した。
このような例を挙げ、実際に人権問題を抱えているのは、北朝鮮ではなく西側諸国の方であると訴えているのだ。
記事の最後には、「西欧の政治家は、自分たちの状況を十分に認識することをお勧めする」と皮肉まで付け加えている。
なお、韓国は、EUが国連人権理事会に提出した決議案に2019年から提案国に参加しておらず、今年も参加していない。
八島 有佑