新型コロナへの勝利PRで黙認か
新型コロナへの勝利PRで黙認か
世界中へ衝撃を与えたロシア外交官一家のトロッコ脱出映像。衝撃と同時に久しぶりに心が明るくなる北朝鮮ニュースだったとの声も聞かれる。
中国のSNS微博(ウェイボー)には、いまだに関連投稿が掲載されている。環球時報など官製メディアによる投稿はないものの、実質的に中国政府容認と考えて差し支えないだろう。
書き込まれているコメントには、「どこか楽しそう」、「笑顔だ」、「無事に帰国できてよかったね」という冒頭の心が明るくなるは、外交官一家の楽しげな笑顔によるものかもしれない。
中国政府は、中朝国境の緊張や北朝鮮情勢が不安定になっているなどの情報に対し、常に目を光らせて制限している。国内へ影響が波及することを警戒しているからだ。
特別待遇を受けるはずの外交官でも生活物資が不足し、手押しのトロッコで出国しなければいけないという現状は、北朝鮮の心象を悪化させるニュースのため制限したいと考えそうなものだ。しかし、逆に、中国が新型コロナウイルスに打ち勝った。中国は安全で安定していることを国内へアピールしたいとの狙いが隠されているのかもしれない。それでこのニュースを黙認している可能性がある。
平壌駅から羅先駅まで月7~10本の国内列車運行
多くの中国人が驚いたロシア外交官一家が平壌から32時間も国内列車移動した件。実はこれは異常なことではない。
平壌から羅先まで国内列車はコロナ前の2018年、月7本運行されている。また、平壌からロシアのモスクワやハバロフスクまでの国際列車が3本運行されているので、合計月10本は平壌から羅先、豆満江へ移動することができた。
ロシアへの国際列車3本が、羅先までの国内列車を兼ねているのかは確認できない。しかし、コロナ禍の現在でも本数は減っているかもしれないが、運行されていたのだろう。
820kmを30時間40分
北朝鮮旅行を手配する旅行会社のサイトに平壌から羅先までの国内列車の運行時間が紹介されている。
それによると、平壌駅を午前7時50分出発、羅先駅着翌日午後2時30分。翌日である、つまり、乗車時間は30時間40分となる。
平壌から羅先までの距離は、道路となるがおよそ820キロ・メートルなので32時間もの鉄道乗車は、コロナ禍での異常事態ではなかったことがわかる。
中国も高速鉄道が開通するまでは、夜行列車での長時間移動は当たり前だった。たとえば、大連から延吉まで約1000キロが夜行列車で24時間かかった時代が長らく続いた。それが現在では、大連北駅から延吉西駅まで乗換なしの直行運転で6時間ほどで移動することができる。長春駅乗り換えという選択肢を含めると便数はかなり増える。