中国帰国後に待つ2週間の強制隔離

中国帰国後に待つ2週間の強制隔離

平壌以上に人民元が使いやすい羅先の土産物店

 北朝鮮の羅先特別市が3月に主催、実施するとして募集中のかつら(ウィッグ)工場見学ツアーについて、北朝鮮旅行を手配する中国の旅行会社へ確認してみた。

 「話は聞いています。ですが、本当に実施できるのかと疑っています。現在、中国入国者は入国地の指定ホテルで14日間の強制隔離が実施されています。この隔離が3月に終了したり、隔離なしになるとの発表はまだありません」(大連の旅行会社)

 現在、大連など東北3省はPCR検査陽性者が再び増加しているため新型コロナウイルスへの防疫を強化している。大連の場合は入国時に14日間の強制隔離(大連市内)後、さらに自宅(丹東など移動も可能)で7日間の隔離を要請される「14+7」という合計3週間隔離する厳しいオペレーションを実施している。中国での要請とはすなわち強制を意味する。

見学と契約が同時にできれば生き残れる

 一方で、こんな意見も聞かれる。
  
 「現在、(北)朝鮮での加工ビジネスは止まっているので早く再開させないと倒産する企業も多数あります。羅先を訪問し、工場見学、契約まで1回で済ませればビジネスは稼働するので、(中国へ)帰国後に2週間隔離されても『微信』(中国版WeChat)や携帯電話で指示できるので仕事はできます。言い方は悪いですが生贄を差し出しても羅先での加工ビジネスをやりたい会社は多いと思います。どこも新型コロナで打撃を受けて余裕がないんですよ」(丹東の貿易会社代表)

 羅先工場見学ツアーはウィッグやつけまつげのツアーがそれぞれ別に企画されていて、ツアー情報提供してくれた延吉の朝鮮族実業家は、羅先市は他の製品向けの見学ツアーを計画しているようだと明かす。

 主催者である羅先市は単なる視察や見学ではなく1ストップでの契約成立まで目指して力を入れている

羅先市が加工貿易産業一元管理するために企業法を改正?

 ツアー募集内容には、「2020年は新型コロナウイルスで朝鮮の加工貿易業界にとって危機的な年となった。同時にコロナ危機により、これまで水面下にあった数多くの問題が顕在化した。具体的には販路や中間業者、決済などの問題である。これらの問題をすでに羅先特別市は把握しており、将来かつ長期的に発展するため諸問題を解決するべく「企業法」を改正した。これにより、加工貿易産業の整理統合が進み、市政府による管理体制が強化されより透明化される。

 羅先経済済貿易区は朝鮮の経済特区として最前線に位置する。羅先が加工貿易産業の先進都市として牽引し、かつら、つけまつげ産業を皮切りに規制を撤廃し、統廃合を推進させ、羅先市政府による管理・輸送・通関を一元管理するべく強力なリーダーシップを発揮する」
 
 と羅先特別市が全面的に支援することでビジネスリスクを最少にすると謳い中国企業への加工貿易工場視察ツアー参加を呼びかけている。

(続く)

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