「ほぼすべての分野で経済目標達成できず」
北朝鮮で、1月5日に第8回党大会を開催されたと「朝鮮中央放送」など国営メディアが6日に報じた。朝鮮中央放送によると、党大会には党中央指導機関メンバー250人と党各組織の代表者4750人が出席、2000人が傍聴した。
党大会は2016年5月(第7回)以来の開催となり、金正恩政権では2回目となる。
金正恩委員長は開会演説の中で、前回党大会で決定した「国家経済発展5か年計画」(2016年〜2020年)について触れ、「ほぼすべての分野で目標には遠くおよばなかった」と述べた。
前置きとして、「わが党が革命闘争と建設事業で収めた成果が決して少なくはない」とはしているものの、経済不振を真正面から認めた形だ。
その上で目標未達の要因として、「我々の努力と前進を妨げ、阻害する各種の挑戦は外部にも内部にも依然として存在している」と分析している。この「外部」について、特定の国家や個人についての言及はなかった。
金正恩委員長「防疫活動で成果」
金正恩委員長は経済不振を認めつつも、新型コロナ対策については自信を見せた。
金正恩委員長は同じく開幕演説の中で、「これほど難しかった昨年(2020年)、長期化した史上稀にみる世界的な保健医療危機状況(新型コロナ感染拡大)の中でも困難に頑強に打ち勝ち」としており、「感染者ゼロ」としている自国の防疫体制を誇示した。
さらに昨年は台風被害で苦しんだ北朝鮮であったが、「自然災害復旧闘争に皆がこぞって奮起して、国のいたるところに2万余世帯の新しい住宅を建てたその偉大な功績は、わが党の闘争記録帖に誇らしい1ページを残した」と賛辞を贈っている。
北朝鮮で昨年もっとも打撃を与えたとみられる新型コロナウイルスと台風被害については、ある程度の「勝利」を収めたという評価のようだ。
今党大会で新しい経済政策や対外方針が示される見込み
党大会は数日にわたって開催され、今週末には新方針について発表がなされる見通しである(2016年の第7回党大会では4日間開催)。
金正恩委員長は、開会演説の後に行われた活動報告の中で、新「国家経済発展5か年計画」に言及しており、昨今の内外情勢や国連制裁などを踏まえた新たな5か年計画も採択される見込みだ。
そのほか、米国ではバイデン政権の発足が控える中で、どのような対外方針や、核・ミサイル開発方針が打ち出されるのかについても各国から注目が集まる。
そもそも党大会とは?
北朝鮮では、「朝鮮労働党の決議内容が国家の方針・運営を決定づける」と憲法で規定されているが、その党機構の中でも最高指導機関であるのが「朝鮮労働党大会」(党大会)である。
北朝鮮では定期的に「政治局会議」や「政務局会議」などが開催されているが、基本的に党大会で決定した方針から外れることはない。もちろん、国権の最高主権機関である「最高人民会議」(国家機関)も同様である。
つまり、党大会で決定した国家方針は数年間にわたって対外政策や国内政策の礎となることから国外の研究者からは注目が寄せられる。
党大会は1980年の第6回党大会以降、金正日政権では長く開催されていなかったが、金正恩政権となった2016年5月に36年ぶりとなる第7回党大会が開かれた。同大会では、金正恩氏が「党委員長」に選出されたほか、党規約を改正して核開発と経済発展を並行して進める「並進路線」を明記するなど国家戦略が決定されている。
八島 有佑