恣意的な逮捕で人質外交だと批判するカナダ
恣意的な逮捕で人質外交だと批判するカナダ
「カナダ人の法的な権利は保証されている」
12月1日、中国外務省の華春瑩報道官が拘束中のマイケル・スパバ氏らの現状について外国メディアからの質問に答えたと国営「中国新聞社」が報じた。
マイケル・スパバ氏は2018年12月上旬に中朝国境の丹東で拘束されて2020年6月19日にスパイ罪で起訴された。同時期に北京でも元外交官のカナダ人マイケル・コブリグ氏が拘束されてスパバ氏とともにスパイ罪で起訴されている。
華春瑩報道官は、「中国はカナダ人らの逮捕、起訴、裁判を中国の法律に則り粛々と進めている」と答え、
続けて記者が中国政府はマイケル・スパバ氏とマイケル・コブリグ氏を外交利用するために恣意的に拘束して人質外交を展開しているとカナダ政府が主張している点について質問すると、
「カナダ政府は単純に善悪を混同し、白黒を逆転させている」と反論している。
「孟晩舟逮捕とは一切関係ない」
このやり取りは、12月1日がカナダで孟晩舟氏が逮捕されて2年となることに言及したときに受けた質問だ。
「中国の民間人孟晩舟が不当拘束され2年が経過する件とカナダ人2人の件はまったくの別件で関連性は一切ない。2人のカナダ人は中国の安全保障に危害を与える重大なスパイ行為の疑いで中国の国内法に則り合法的な手続きを進めている」と華春瑩報道官は繰り返し主張した。
カナダの報道では、すでに裁判が行われたと報じられているが、中国当局からは裁判が始まったとの発表は確認できていない。
中国は通常だと起訴後すぐに裁判が始まり判決が出るのも早い。今回、マイケル・スパバ氏らを起訴してから半年以上経っても裁判が始まらないのは、孟晩舟氏の身柄をアメリカへ移送するように求めるトランプ政権からバイデン政権に移行するタイミングを見極めているとみられる。
バイデン政権になっても対中警戒は緩まない
バイデン政権が誕生する2021年1月以降に孟晩舟氏を軟禁を解き、国外追放などの処分にすれば、中国はマイケル・スパバ氏らをカナダとの友好関係を配慮などもっともらしい理由をつけて釈放し国外追放処分にする可能性が高い。
しかし、マイケル・スパバ氏らの安否情報を定期的に報じるカナダ紙「ナショナル・ポスト」は、すでにアメリカや世界中の同盟国が中国の脅威に目覚め中国に対して厳しくなっているためバイデン政権が誕生しても孟晩舟氏の軟禁が即解かれる可能性は低いとの見方を伝えている(参考 Matt Gurney: China has done what it wants with the two Michaels, because it doesn’t fear Canada’s response)。