過去最低を2か月連続更新
中国海関総署(海関は税関の意味)は、23日、11月の北朝鮮との貿易総額が127万3000ドル(約1億3000万円)で前月比23パーセント減、前年同月比99.5パーセント減とほぼ全停止状態になっていることを発表。この貿易総額は中朝貿易総額が公表され始めた1998年以降、最低だった10月ををさらに下回り最低額を更新したことになる。
発表された貿易詳細を見ると、11月、中国から北朝鮮への輸出は14万8000ドル(約1530万円)、前月比42パーセント減。北朝鮮からの輸入は112万5000ドル(約1億1600万円)、前月比20パーセント減。12月も同様の傾向が続いているので11月と同じくらいの貿易総額になるみられる。
北朝鮮から見て輸出超過になっているのは北朝鮮の外貨不足や防疫強化が影響していると考えられる。
北朝鮮へローカル化した華人も脱出
中朝貿易が新型コロナ対策によって今年2月から制限されてすでに10か月が経過し、北朝鮮では中国からの輸入に依存していた商品が底をつき地方都市だけでなく首都平壌も物不足に陥っているようだ。
韓国「デイリーNK」は24日、北朝鮮在住の華人40人ほどが陸路で新義州から丹東へ出国したと報じた。
ここで言われる華人とは、一般的に使われる華人(現地へ帰化した中国出身者)とは異なり、北朝鮮生まれや北朝鮮育ちの中国籍の中国人を指す特殊な言葉だ。多くが中朝貿易に従事している。
ほとんどの華人は中国で生活経験が乏しく中国語よりも朝鮮語のほうがネイティブだったりする。しかも、華人には朝鮮族はほぼおらず、主に漢民族や満州族など朝鮮族以外の民族で構成されているとされる。
華人の実態は不明瞭な部分が多い。中朝貿易に携わるある朝鮮族は、華人を「チンピラみたいな不法者」と吐き捨てる。
その華人ですらも生活苦を理由に北朝鮮を脱出してきているとの報道だ。多くの華人にとっては祖国であるはずの中国がむしろ外国で、中国での人間関係は皆無に等しいので生活は厳しいのではないかとみられる。
生産量ゼロの砂糖は枯渇し各種調味料も不足か
中国からの輸入に依存しているものの1つに砂糖や酢、醤油、塩などの調味料がある。特に砂糖は北朝鮮では生産量がゼロのため輸入停止は即供給不足に直結する。
北朝鮮事情に詳しい研究者によると、酢や醤油は国内生産できるが原料は米や大豆など穀物のためその穀物が足りていないのではないかと分析する。
塩も塩田などから作ることはできる。しかし、北朝鮮は秋以降、防疫を理由に海へ近づくことを制限しているとの情報もあり製塩に支障が出ている可能性がある。
輸入に依存する砂糖はすでに枯渇し各種調味料も大幅に不足して価格が暴騰して日常生活に影響が出ていると中朝関係者は語る。
北朝鮮では例年、年明けから春先までの2、3か月間がもっとも食糧事情が厳しい季節となる。