北朝鮮ビールを販売して外為法違反の疑いで書類送検
北朝鮮ビールを販売して外為法違反の疑いで書類送検
今月4日、静岡県警磐田署は、北朝鮮で購入したビールや焼酎を日本国内で販売したとして大阪の会社員男性を外為法違反(無承認輸入)の疑いで書類送検した。
販売が確認されたものはビールや焼酎4点となっているが、公開された写真を見ると「大同江ビール」や「平壌ビール」、焼酎などアルコール飲料以外にもポストカード、菓子など40点ほどが自宅から押収されたと『産経新聞』は報じている。かなりの量であることが分かる。
北朝鮮のビール販売で書類送検されたとマスコミへ公開されるのは昨年7月、福岡の中国人男性以来とみられる。
日本政府は北朝鮮を原産地とするものの日本への輸入を禁止している。関連品の中でも特に厳しいのはビールやたばこ、化粧品などの工業製品とされている。
前回はヤフオク。今回はメルカリ?
昨年の福岡の男性が売買していたのは「ヤフオク」だった。その影響か事件後、ヤフオクは自主規制を始めたのか大同江ビールなど北朝鮮の酒類を削除するようになり出品は現在でも確認できない。
他方、今回の大阪の男性が出品していたのは「メルカリ」だと思われる(ヤフオクは出品しても短時間で削除されるため)。メルカリは、今回の書類送検が報じられる前に削除対象に加えたのか北朝鮮ビールや酒類は姿を消している(1品レア物の北朝鮮古酒を除いて)。今後、メルカリはヤフーのように出品しても即削除されるとみられる。
確認されていない金正恩バッジ販売
確認されていない金正恩バッジ販売
あまり報じられていないが、昨年7月に書類送検された福岡の中国人男性は大同江ビール以外にも金日成主席や金正恩委員長のバッジもヤフオクで高値で販売していた。しかしながら金正恩委員長のバッジはまだ北朝鮮では確認されていない。つまり、存在しない模造品だったということだ。
北朝鮮をモチーフにした模造品なので中国で製造されたものだろう。これら中国製模造品バッジも外為法違反の疑いになったのだろうか。
さて、本件を調べていくと興味深いことが分かった。日本での事件の影響なのか、中国最大のECサイト「淘宝網」で、金日成バッジや金正日バッジと検索すると1件も売られていない(以前は模造品が大量に売られていた)。金正日や金正恩と固有名詞で検索すると「申し訳ございません。淘宝網には“金正日”関連商品はございません」と表示される。
これは一体どういうことなのか。いつからの現象か確認は取れていないが、考えられるのは北朝鮮側から販売しないように要請があり、淘宝網がそれに応じて自主規制で削除した可能性があるということだ。
意外なことが中朝関係のバロメーターに
北朝鮮側の要請に中国企業(実質的には管轄する中国政府)が応じるか応じないかは、実は、中朝両国の関係を測るバロメーターでもある。両国の関係があまりよくないときは北朝鮮からの要請は無視されるので北朝鮮指導者を茶化したような製品が無数に販売される。
この傾向は検索エンジンやSNSも同様であり、金正恩委員長を侮辱する“金三胖”(肥えた金の三男)という隠語も2018年春には一夜にして姿を消した(一夜は大げさだが短時間で一斉に削除されている)。現在は、NGキーワードになっている。
話を戻すと、北朝鮮が要請して、中国がそれに応じて指導者偽バッジや金正日総書記や金正恩委員長に関連するパロディグッズが一掃されているということは、両国の関係は比較的に良好状態と推測することができそうだ。