電子たばこと加熱式たばこは別物

電子たばこと加熱式たばこは別物

世界的にはVape(ベイプ)と呼ばれる電子たばこ

電子たばこと加熱式たばこは別物

 日本では電子たばこと言うと「iQOS(アイコス)」などをイメージする人が多いのではないだろうか。しかし、世界的にはアイコス(加熱式たばこ)と電子たばことは別物と扱われている。

 タバコの葉を電子加熱する加熱式たばこは、日本が世界の加熱式タバコの8割ほどのシェアを占めほぼ日本しか売られていない令和のガラパゴス製品なのだ。

 それに対して電子たばこは、リキッド(液体)やフレーバー(香料)と呼ばれるもの混ぜて加熱して蒸気を吸うもので、さらにニコチンなども追加して自分好みの味を作り出して楽しむものだ(日本ではニチコン入りの電子たばこの販売は禁止)。
 
 昨今、電子たばこは未成年への健康リスク懸念から世界的に禁止する動きが加速している。タイなどは早くから加熱式たばこも電子たばこの1種と区分されて使用も持ち込みも厳しく禁止している。そのため、知らずにタイへ持ち込んで吸って高額罰金を科される日本人の事例も起きている。

中国人が発明した現代電子たばこ禁止の本当の理由

 電子たばこの原型は1965年にアメリカ人が発明したものだが、現在、流通する電子たばこと呼ばれるものは2003年に中国人薬剤師が発明し特許を取得している。
 
 つまり、電子たばこは莫大な中国利権であり、多くの喫煙具やリキッド、フレーバーも中国で生産されている。

 近年、アメリカやインド(昨年9月発売禁止)が電子たばこ販売禁止へ乗り出したのはこうした中国利権を断つためとも思われたが、どうやらそれだけではないようだ。タバコの葉を含まない電子たばこは多くの国でたばこ扱いされておらず、たばこ税が徴収できていない。またはかなり軽い税率になっている。各国安定財源であるたばこ税を確実に徴収するため国内のたばこ産業を守る意味もありそうだ。しかし、そうは表立っては言いづらいので、多く人が納得しそうな未成年の健康被害を守ることを全面に打ち出していると考えられる。

中国で余った電子たばこが北朝鮮へ流れた?

 現代の電子たばこ発明国である中国も昨年11月1日からオンラインでの販売禁止へ踏み切っている。現在も店頭販売は行われているが、電子たばこ愛好者はネット世代の若年層が主流だったため販売数は大幅に減っている。一見すると不思議に思えるが、中国が規制に乗り出した背景もたばこ税が関連していると指摘される。

 北朝鮮研究の識者が注目したのは、この禁止されて売れなくなった中国の電子たばこがどこへ行ったかということだ。中国で余った電子たばこの喫煙具やリキッド、フレーバーが密かに北朝鮮へ流れたのではないかと注目した識者もいた。

金正恩委員長の電子たばこ姿は未確認

金正恩委員長の電子たばこ姿は未確認

数少ない軍人撮影OKな板門店。土産のたばこをカートンでもらっている軍人も多い

 果たして金正恩委員長は電子たばこを愛用しているのだろううか。昨年、秋以降に北朝鮮官製メディアへ登場する金正恩委員長がたばこを手にしている姿は度々確認されているが、これまで電子たばこは確認されていない。

 『労働新聞』を読み返していくと、インドが電子たばこの販売禁止を行った直後の2019年9月27日付で電子たばこの危険性を訴える論評が確認できる。

 加えて「世界保健機関(WHO)」の報告では、北朝鮮は外国産のたばこの輸入を制限し電子たばこ、無煙たばこの禁止国と認識しているようだ。明確な時期は不明であるものの2005年に採択された「たばこ統制法」のいずれかの改正で電子たばこも禁止されたとみられる。

 北朝鮮も電子たばこの危険性よりも他国同様に国内産業保護が本音だったのかもしれない。

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