喜び組?売春婦?美人スパイ?“魅力ある素材”の北レス美女スタッフ
喜び組や売春婦、美人スパイなどと刺激的な言葉で紹介されることが多い北朝鮮レストラン(以下、一部北レス)の美女ぞろいと評判の女性スタッフたち。
北朝鮮レストランの女性スタッフの勤務実態について確実な情報はほとんどないにもかかわらず、ゴシップ誌や一部メディア、「ユーチューブ」などで面白おかしく取り上げられてこれらの言葉が独り歩きするのは、売上やアクセス数を稼ぐことへ直結する“魅力ある素材”だからだろう。
喜び組と呼ばれるものは原語から直訳すると喜ばせ組のほうが近いと「金正日の料理人」こと藤本健二氏は講演で話していたが、本来は北朝鮮の最高指導者をもてなすための組織とされる。それが組織として外へ、しかも北朝鮮国外へ出ることはまずないだろう。
見かけない買春体験談
北朝鮮レストランの女性スタッフが売春をという話もよく出てくるのは事実である。各国で展開していた北レスは、現地の北朝鮮大使館や領事館が実質的に運営に関与していたとされる。それゆえにスパイとの話も出てくるのだと思われる。
各店舗は定期的に決まった金額を大使館や領事館へ上納する必要があり、店舗責任者は資金繰りならぬ、上納金集めが大変だったという話は、脱北した関係者の証言から明らかになっている。
そうすると上納金集めに困り女性スタッフに客相手の売春をさせていたという話はありえなくはない。しかし、もし売春行為が北朝鮮レストランで広く行われていたのであれば、買春した客側から北朝鮮人女性と…という話がもっと出てくるのではないかと思われるのだが、過去にそのような話や体験談を見かけたことはあまりない。
海外でも実施される批判集会「生活総和」。もしリアルスパイをしたら…
そもそも海外在住の北朝鮮人たちも北朝鮮国内在住者と同様に常に複数人で相互監視させて見聞きした他人の行動や言動を批判集会「生活総和」で発表させることで管理している。
北朝鮮レストランで一緒に働くスタッフ同士は、助け合う同僚のように見えるが、実際は同僚ではない。ある意味、相互不信を抱かせ常に緊張感を保ち続ける関係を作ることで脱走や上層部への反発を防ぐ役割も果たしている。
たとえば、北朝鮮レストラン勤務中に韓国人客から聞いた話などは報告する義務があるので逐一報告しているだろう。その意味では確かにスパイ的な活動と言えなくもない。だが、もし、北レスの女性スタッフが現地国で本格的なスパイ活動に従事するような裏稼業があるとしたら、中国やタイなど現地国が北朝鮮よりも数段豊かな現実を知ってしまうのではないだろうか。そうすると、北朝鮮が長い時間をかけてコツコツ積み上げてきた価値観は一夜にして崩壊して、脱北者が続出しても不思議ではない。
(続く)