短文で報じる中国官製メディア
短文で報じる中国官製メディア
中国の国営メディアは、10日未明に北朝鮮で行われた朝鮮労働党創建記念日の軍事パレードについて11日午前に大きく報じた。「新華社通信」や『環球時報』などは国際ニュースでライトアップされた人民大学習堂内を歩く金正恩委員長の姿をトップ扱いで伝えた。
中国官製メディアは、「中国中央テレビ」のニュース記事も含めすべて新華社通信の記事で統一されている。
内容は、「『朝鮮中央通信』10月10日提供写真は、金正恩朝鮮労働党委員長、国務委員会委員長、朝鮮人民軍最高司令官が平壌での軍事パレードへ出席したことを写している。10日の朝鮮中央通信によると、朝鮮労働党成立75周年を祝い北朝鮮の平壌中心に位置する金日成広場で軍事パレードを開催した。軍事パレードには、金正恩朝鮮労働党委員長、国務委員会委員長、朝鮮人民軍最高司令官が出席し演説を行った。新華社通信/朝鮮中央通信』
金正恩委員長の演説内容やICBMなどは一切言及なし
文字にして150文字ほど短文記事へ写真8枚を添えて伝えた記事では軍事パレードの時間帯や規模、披露された軍隊や兵器、金正恩委員長の演説内容など具体的なことには一切触れていない。
公開されている写真8枚には、金正恩党委員長の演説する姿や最新大型兵器は1枚も掲載せず、国旗掲揚写真、花火、軍用車、歩兵師団の行進などを掲載している。日本では「ヤフー」が速報でトップトピックス入りで伝えるくらい大陸間弾道ミサイル(ICBM)など最新兵器への関心が高い。安全保障上の重大な懸念だからだ。
中国は北朝鮮と対米でさらになる“社会主義連帯”を深めたい一方、核やミサイル開発に対しては批判的だ。官製メディアの伝え方から中国政府の本音が透けて見えるようだ。
全演説内容が中国語でSNS上へアップ
全演説内容が中国語でSNS上へアップ
しかし、SNS「微博(ウェイボー)」上で、北朝鮮が関与していると思われる「NewDPRK」は、昨晩「北朝鮮中央テレビ」が軍事パレードを録画放送した直後から金正恩委員長の字幕付き演説動画や内容全文を中国語で公開したり、軍事パレードの最後に登場した新型のICBMなどの写真を大量にアップして誰でもアクセスすることができる。
さらに探すと、国営メディア系以外のアカウントでは軍事パレードの詳細や開催時間、規模などを伝えるものも多く、強い規制は感じられない。
「フェニックステレビ」(香港)が伝えた軍事パレードのニュース記事には1000を超えるコメントが書き込まれていて、「幻想的だ」、「社会主義国の兄弟」、「北朝鮮がんばれ」、「人民が泣いている」など肯定的なコメントが多い。一部には、「金正恩さんはもっと痩せたほうがいい」、「足の上がりが旧東ドイツ式じゃなくなった!」 、「何で深夜にやるんだ?迷惑だろう」などの否定的なコメントもあるが、金正恩委員長への個人批判や北朝鮮の体制批判などがないことから中国当局が目を光らせて削除しているとみられる。