丹東で新規陽性者報道はない

丹東で新規陽性者報道はない

中朝国境を警備する北朝鮮の女性兵士

 中国国境エリア関係筋からの情報によると、13日、新義州が都市封鎖を実施。理由は不明。新義州住民は市外はもちろん、外出も制限される状態に置かれているという。
 
 新義州に親族が住む中国朝鮮族は、「新型コロナの感染が疑われる人が見つかったのではないか」と話す。

 新義州は今年2月末にも新型コロナウイルス対策で都市封鎖が実施されたとされる。都市封鎖といっても北朝鮮は元々都市間の移動は許可制で自由な往来はできない。そのため、通常の状態が多少厳しくなった程度だろうとの指摘もある。

 対岸の丹東で新型コロナウイルスの新規陽性者が見つかったという現地報道は今のところ確認できない。

北朝鮮人ハッカーが中国から2億ドルを盗み中朝関係悪化?

 丹東といえば、9月9日付『産経新聞』が、北朝鮮人のハッカーが中国人ハッカーと共謀して中国、香港、マカオの金融機関をハッキングして2億ドル(約211億円)相当を盗み出したことが発覚。中国は北朝鮮に対して、すでに帰国している北朝鮮人ハッカー200人を9月末までに中国側へ引き渡すように要求。引き渡すまで国境封鎖を続けるというものだ(有料記事のみ)。

 新義州の都市封鎖を聞いて最初にこの記事が頭に浮かんだ。このような件の裏取りは困難で、仮に事実だとしても報道規制され中国国内で報じられることはないだろう。複数の中国在住者へ確認しても誰も知らなかった。

7か月以上封鎖されている丹東国境・税関

 しかし、ハッカー事件と都市封鎖にはタイムラグがあるのと、そもそも中朝国境の封鎖を続けるとあるが、中朝国境は2月1日以降、7か月以上、継続的に封鎖されており、貿易は停止したままだ。例外は、医療や人道支援での物資運搬などで、これらに限り国境を開いている。後者の例外も停止するという意味だろうか。

 丹東在住者で職場が中朝友誼橋(旧鴨緑江第2橋梁)近くにある中国人男性は、2月以降、朝昼晩にトラックが橋を通過する姿を長らく見ていないと話す。人道支援物資の特別輸送は深夜や早朝に秘密裏に運送されているとの情報もある。

食糧危機”苦難の行軍”再来を懸念

 台風10号が北朝鮮を通過後、新義州で密輸に対する取り締まりが強化され、密貿易従事者が拘束され処刑されたり、収容所へ送られているという話が、丹東の貿易商や朝鮮族へ伝わり噂になっている。

 また、丹東では金正恩委員長が食糧支援を求めて訪中するとの噂もあるようだが、過去、金正恩委員長が新義州を特別列車で通過するときも新義州を都市封鎖していないので、金正恩委員長の特別列車での訪中予定が都市封鎖の理由とは考えにくい。

 正規の中朝貿易も密輸も厳しく規制された今、90年代後半の苦難の行軍を知っている朝鮮族の40代以上の世代では、この冬、北朝鮮での食糧危機の再来を心配する声が上がり始めている。

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