世界トップ10の金の埋蔵量

世界トップ10の金の埋蔵量

北朝鮮地図で見るとレアアース・金・鉄がいっぱいとのタイトル 出典『東亜サイエンス

世界トップ10の金の埋蔵量

 北朝鮮は世界的に見ても鉱物資源が豊富な国として知られており、北朝鮮の地下には、220種類以上の鉱物資源が確認されている。

 電気回路や耐熱材、特殊合金などに使用されているモリブデン、建材や医薬品に使用されるマグネサイトなどを始め、他にも黒鉛、タングステン、重晶石、銅、雲母、蛍石などの鉱物に関しては推定埋蔵量で世界10位圏内だ。

 他にも、鉄や金などの埋蔵量も世界10位圏内であることからも、北朝鮮に豊富な地下資源があることが分かるだろう。そのため、「韓国鉱物資源公社」は北朝鮮に埋蔵されている主要鉱物資源の潜在価値を約420兆円程度と推定している。
 
 この規模は韓国に残存している地下鉱物資源の約15倍に達する規模だ。他国による分析などでは、鉱物資源の価値をさらに多く推算している国もあるなど少なくとも数百兆円規模の鉱物資源が埋まっているのは間違いないだろう。

韓米中ロが狙う北朝鮮の地下資源

 北朝鮮の地下資源はまだまだ未開発であり、そうした資源には韓国やアメリカ、中国、ロシアなどの各国が関心を寄せている。韓国は、2003年から北朝鮮に対して鉱物資源経済協力を行っており、2010年の「5.24措置」で鉱物資源協力が全面中断されるまで継続された。

 韓国は、全鉱物の90パーセント近くを輸入に依存する。その韓国にとって北朝鮮の鉱物資源に対して投資協力を行うことができれば、輸入代替効果や資源の安定確保などが期待できる。輸入依存が高い現状から韓国が北朝鮮の鉱物資源に関心を寄せているのは間違いない。

 また、アメリカのトランプ政権は、日本が植民地時代に関与した北朝鮮と中国国境地帯の地下資源についての開発データの提供を日本政府に要求し、ロシアや中国も北朝鮮に対する支援体制を強化させている。

 国としてだけではなく、中国やロシアなどの外国企業も北朝鮮の鉱物資源に高い関心を示しており、投資に算入する構えを見せている。将来的に北朝鮮の経済制裁が解除されることになれば、各国による北朝鮮の地下資源をめぐる争奪戦が起きる可能性も低くない。

地下資源開発の課題は?

地下資源開発の課題は?

北朝鮮の物流・運搬を支えるトラック輸送

 北朝鮮の鉱物資源開発の過程では鉱山開発が必要となり、その際には莫大な量の電力供給を解決しなければならない。そうなると、資源の共同開発が行われることになると考えられる。

 しかし、資源を共同で開発したとしても、鉱物資源を獲得できるインフラ建設と投資への安全性保障が必要であるものの、北朝鮮にその環境が整っているとは言いがたい。

 現在、北朝鮮の地下資源投資についての法律としては、「北南経済協力法」と「地下資源法」、「外国人投資関連法」がある。北南経済協力法は宣言的な内容であるため、投資への安全性は保障されない。

 地下資源法は、開発主体が北朝鮮の国内機関に限定され、廃鉱についても許可制である。つまり、経済性がない場合でも投資家は廃鉱を決定する権利を持たない。また、外国人投資法でも資源の輸出を目的とした外国人企業の投資は禁止されているなど民間企業が資源開発投資を行う環境はまったく整っていない

 資源開発が活発に行われるためには、こうした法律などの課題が解決される必要がありそうだ。
 

千歳 悠
4年ほど活動しているフリーライター。金融、IT、国際情勢など日々情報を追いかけている。趣味は読書と動画視聴。

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