変遷する朝鮮民主主義人民共和国の呼称
変遷する朝鮮民主主義人民共和国の呼称
北朝鮮の正式国名は、朝鮮民主主義人民共和国。多くの人は知っていると思うが、テレビや新聞などマスメディア全体を見渡しても正式名称で呼ぶテレビ局、新聞社、媒体は皆無に等しい。
北朝鮮の呼称については以前も取り上げたが、日朝関係により変遷してきた歴史がある。
では、今後、どうなるのだろうかを考えてみたい。将来の仮定の話で、日朝の諸問題解決の道筋つき国交樹立となったとしよう。
少し脱線するが、一部メディアは、“国交正常化”という言葉を使う傾向がある。北朝鮮は1948年建国の新しい国で過去に1度も国交を結んだことがないので正常化は不正確で、新しく結ぶ樹立が正しい。これは、同じく1948年建国の大韓民国、翌49年建国の中華人民共和国も新しい国家なので新しく国交を結ぶ樹立となる。
日朝国交樹立で変わること
では、話を戻すと、日朝の国交が樹立すると、それまでの朝鮮半島唯一の承認国家だった韓国と新たに北朝鮮を加えた両国を承認国家とすることになる。
日本は国際法上、朝鮮半島で承認している国家は韓国のみとしていたので、韓国から北は未承認地域で白地図扱いとなっている。だから、朝鮮半島の北部で北朝鮮でも筋が通っていた。
国交を樹立したら呼称は変化するのだろうか。現実的には、日本はアメリカが、「North Korea」の呼称を変更しないと変更はしないだろうが、今回は、とりあえずそれは横に置いておくとする。
北朝鮮の新しい呼称候補
新しい呼称候補としてまず挙がるのは、北朝鮮側も求めている「朝鮮」。これは韓国から苦情が来ないだろうか。現代韓国は、朝鮮という言葉をあまり好まず、朝鮮半島は韓半島と呼び、朝鮮民族は韓民族と呼んでいる。とは言え、北朝鮮を朝鮮と呼ぶと、朝鮮半島を代表する国家のような印象を与えるなどと言い出しそうな気がする。
次に、これも北朝鮮自身がよく呼ぶ「共和国」。これは即却下だろう。国名に共和国がつく国はごまんとあるからだ。どの国が分からなくなる。
3つ目の候補は「DPRK」。英略字だ。日本のニュースや新聞報道を想起すると英略字で呼ぶ国は少ないがUAEがある。ニュースだと、「UAE、アラブ首長国連邦…」と続けて、次からはUAEとだけ呼ぶニュースを耳にした人もいるのではないだろうか。
将来の日本における北朝鮮の呼称は、DPRKが採用されそうな気がする。
もしかすると、今から30年後には、当たり前にDPRKを耳にする日が訪れているかもしれない。30年後の日本人が、30年前、“DPRKは北朝鮮と呼ばれていた”と知り未来の日本人たちは驚嘆しているかもしれない。