北京または「きれいな中国語」が学べる東北3省へ留学
北京または「きれいな中国語」が学べる東北3省へ留学
中国へ語学留学すると北朝鮮人と同級生となることがある。北朝鮮人の中国での留学先には偏りがあるようだ。北朝鮮人に限れば、高官の子息などエリートは北朝鮮大使館があり、平壌との直行便がある北京へ留学する。
次に多いのは遼寧省、吉林省、黒竜江省の東北3省となる。これは北朝鮮人以外の語学留学生全般に言えることだが、現代中国語とされる共通語(広東語に対して北京語とも)は元々黒龍江省ハルビンの言葉をベースにしている。つまり、ハルビンで話される中国語がもっとも標準的で発音もきれいだとされ、中国人にも広く認知されている。
そのため、標準的な中国語を学べると黒龍江省。“訛り”が少なくきれいだとされる吉林省や遼寧省が留学先として人気が高い。北朝鮮人留学生は日本人留学生も多い大連の大学でも見かける。
大学が誰でも入学できる語学学校を運営
中国の大学は、日本の4年制にあたる学部の他に、大学が外国人向け語学教室を運営している。例えるなら、早稲田大学が大学として日本語学校を経営しているようなものだ。
いくら名門大学でも語学教室なので学費さえ納入すれば無試験で入ることができる。中国の大学が語学教室を運営するのは、学部生や院生などとの交流、語学教室である一定の中国語水準に達したら学部へ優待編入する制度を設けるなど見込みある外国人学生を確保することが目的の1つとなる。
語学系が強い大学ほど多くの留学生を受けれているため大学よって留学生の人数には差がみられる。
北朝鮮人とともに学んだ日本人留学生
北朝鮮人とともに学んだ日本人留学生
2000年ごろに「大連外国語学院」(現 大連外国語大学)へ語学留学した日本人女性は、
「当時は、1クラス15人くらいで日本人、韓国人、ロシア人、カナダ人などと一緒に学び、この中に普通に北朝鮮人もいました。授業以外のレクレーション活動やスポーツ大会なども特に違和感なく一緒に参加していました」
日本では未知な中国ならではの経験と言える。
2010年ごろになると、語学留学生だけで500人、600人など抱える大規模学校では、北朝鮮側の要請かは不明であるが、「朝鮮班」という、北朝鮮人だけのクラスを編成し他の外国人留学生と別ける大学が増えた。「大連理工大学」などでは、朝鮮クラスだけを別校舎にするなど他の国の留学生たちと接触を避けたいのかという動きもあった。
同じ時代でも語学留学生が全体で10人しかないような大学もあり、そのような小規模大学では、日本人と北朝鮮人が同じクラスで勉強していたようだ。
(続く)