韓国留学と平壌で英語教師を経験
韓国留学と平壌で英語教師を経験
6月19日にスパイ罪で起訴されたマイケル・スパバ(Michael P. Spavor)氏は、カナダの報道によると拘束地である中国丹東の国家安全局で拘束されているとみられる。
中国は拘束されると公安が管轄する勾留所で取り調べを受けて起訴される。しかし、スパイ容疑だけは、強力な権限と無尽蔵な予算を持つ国家安全局が担当している。今、世界中が注目する香港国家安全法が導入されると香港に中国本土の国家安全局が設置される可能性が高い。対象は当然、香港人だけでなく、中国本土でマークされるすべての外国人も対象となることを意味する。
カナダのアルバータ州カルガリー出身のスパバ氏は、20代で韓国へ留学後、平壌で半年ほど英語教師として教壇に立つ経験をしている。その後、中国吉林省の延吉を拠点に北朝鮮との交流事業を手掛け始める。
北朝鮮交流事業に従事。「金正恩の友人」と呼ばれる
スパバ氏は、北朝鮮とのスポーツや観光を通じた交流や投資促進を目的とした「白頭文化交流社」というNGO団体の代表を務める。公式サイトは、現在も残っているが、2018年11月末を最後に更新は止まっている。最後の最新トピックスは、2018-19年のカウントダウンツアー募集についてのままだ。
スパバ氏を有名にしたのは、アメリカNBAのデニス・ロッドマン元選手を北朝鮮へ案内(ロッドマン氏自身は2度目の訪朝)し、金正恩委員長と招待所で数日間過ごした経験を持つからだ。そのため、「金正恩の友人」として一気に知名度を高めた。
しかし、友だちと言われているも実際に金正恩委員長と会ったのはこのときの1回限りだと考えられる。それでも、北朝鮮国内で金正恩委員長と一緒に写っている写真が展示場に飾られているくらいなので、公認と言っても差し支えないだろう。
中国政府からVIP待遇を受けていた
中国政府からVIP待遇を受けていた
スパバ氏は、中国から出入国や滞在ビザなど全般的に恵まれている日本人からしてもVIP扱いを受けていたことから何かしら中国政府へ協力していたのではと考えられる。
中国は、反スパイ法(2014年11月施行)で16年春ごろから相次いで日本人など外国人をスパイ容疑で拘束していった。同時にスパイ容疑以外の公安による拘束も急増することになる。
これまで罰金や没収のみで勾留までされなかったようなオーバーステイ、禁止所持品、軍用地などの撮影、取得ビザの申請業種違い、買売春など重箱の隅をつつくような理由をつけて拘束理由を増やしていた。
そんな厳しくなった時期にもかかわらずスパバ氏は、ビザなしで延吉に滞在し、頻繁に北朝鮮へ出入りし、ロフト付きの新しいマンションを賃貸し、NGO活動もしていたから驚きだ。
「何かしら中国政府から恩恵を受けていないと実現できない活動だと思う」(2017年に中国で拘束経験がある日本人)
と当時を振り返ってもスパバ氏は中国政府から特別なVIP待遇を受けていたのではと話す。
(続く)