91年南北基本合意書でビラ戦争中止へ同意
91年南北基本合意書でビラ戦争中止へ同意
中国が報じる北朝鮮と韓国のビラ戦争70年史 約束を破っているのは韓国?(1/2)の続き。
ソウルオリンピック後の1991年12月13日、韓国と北朝鮮は、南北基本合意書に同意。正式名称は、「南北間の和解と不可侵および交流・協力に関する合意書」と呼ばれる。
日本語訳版には、
第1条 南と北は互いに相手方の体制を認定し尊重する。
第2条 南と北は相手方の内部問題に干渉しない。
第3条 南と北は相手方に対する誹謗中傷をしない。
第4条 南と北は相手方を破壊・転覆する行動をいっさい行なわない。
とあり、ビラ配布はこれら条項に含まれるとされる。
南北基本合意書同意後は、配布されるビラは大きく減少した。しかし、その後、合意書が履行されない時期が10年近く続くことになる。
ビラ戦争を終結させたのは、2000年6月の金大中大統領と金正日国防委員長との間での6.15南北共同宣言だ。これによりビラ戦争は終戦を迎えた。
韓国政府は2004年に正式にビラ配布を停止させた。しかし、その後、脱北者団体が中心となり現在のような風船を飛ばす形でのビラ配布が始まることになる。
李・朴政権時にビラ激増。北朝鮮もビラ再開
2008年、李明博政権になると、金大中大統領、盧武鉉大統領が進めた太陽政策を改め北朝鮮に対して厳しい態度へと転換させた。李明博大統領、朴槿恵大統領の時代は、風船による北朝鮮へのビラ散布が激増することになる。
21世紀、韓国から北朝鮮へのビラには、砂糖菓子として、白米やインスタントラーメン、米ドル紙幣、K-POPアーティストのCD、韓流ドラマVCDなどを一緒にくくりつけて配布するようになった。
現在、ビラを配布するのは脱北者たちが中心なので、脱北体験を書き記したメモ、北朝鮮人に対して脱北を促す内容なども添えるようになっている。もちろん、北朝鮮政府や指導者の誹謗中傷も忘れていなかった。
それに対して北朝鮮側もビラ戦争を再開させて、2016年、韓国にTHAAD配備が決まったときには、アメリカに屈した韓国を批判し、「我々は戦争に備えなければいけない」や「最高尊厳(金正恩委員長)は狂ったアメリカの老人の敵対行為に対抗するために強力な火力を使うことを決断した」、「巨大なミサイルを見たトランプや安倍は恐怖におののいている」などの風刺画も確認された。
約束を破り続ける韓国?中国政府の意向忖度も
慶南大学極東研究所のキム・ドンヨプ(金東葉)教授は、「21世紀に入ってから北朝鮮の人々は韓国からのビラを知らない人はいないくらい慣れてしまっている。しかし、思想統制されている北朝鮮人にとって北朝鮮の最高指導者を誹謗中傷するビラを見ることは、怒りや反発を急激に高めることになり逆効果になりかねない」と懸念を示す。
この『環球時報』の記事は具体的に韓国のどの新聞やメディアを翻訳したものかは紹介されていない。中国人に対して伝える内容にしては中国共産党政府の過去のやり方を連想させる表現も含まれているようにも思える。
それにしても出典は韓国メディアのはずだが、ビラ戦争は韓国が北朝鮮との約束を破り続けてきものだ。非は韓国にあると北朝鮮側を擁護する内容にも読み取れる。環球時報が中国政府に忖度して意訳したのかもしれない。