1200万枚以上のビラと3000の風船を用意する北朝鮮
中国が朝鮮半島で激化している「ビラ戦争」を連日報じている。中国は自国の利益を損なわないと判断される国外ニュースは中国人のガス抜きに利用するために盛んにそれも驚くほど詳細に伝える。それら発信される内容や量を分析すると中国政府の意向が透けて見えるようだ。
22日の『環球時報』は、「中国中央テレビ(CCTV」)のニュースを引用して、南北ビラ戦争について以下のように報じている。
「朝鮮中央通信」によると、韓国への報復としてビラを配布する最終段階に入った。配布されるビラ1200万枚を印刷し、さらに印刷工場を増やし数百万枚を追加する準備を進めている。
北朝鮮時間22日には、ビラを配布するための3000もの風船が用意されており、北朝鮮政府関係者は、もはや韓国へのビラ配布行動は止めることができないと述べた。
朝鮮戦争中にビラ28億枚が舞う。うち25億枚が南から
さらに23日の環球時報では、韓国メディアの記事を引用して、「南北朝鮮70年のビラ戦争史」として詳細に伝えている。以下、意訳となる。
韓国は砂糖菓子爆弾、北朝鮮は体制宣伝爆弾を得意としてきた。ここでの砂糖菓子とは、甘言、誘惑という意味だ。
朝鮮半島は今年6月25日で朝鮮戦争開戦70年を迎える。朝鮮戦争が休戦するまでの間に南北でおよそ28億枚のビラが飛び交った。内訳は、25億枚が韓国から。3億枚が北朝鮮からとなる。
当初、韓国から配布されたビラはまさに砂糖菓子のように、「韓国へ来れば、温かい食事と着るものがある」と、両手いっぱいに食料を抱えたり、タバコをくわえた幸せそうな人物が描かれていた。また、中朝を分断せることを意図して、中国は北朝鮮人を人間兵器に利用しているなどのメッセージも書かれていた。
一方、北朝鮮側のビラには、「朝鮮側の勝利は目前。敵はまもなく降伏するだろう」、「釜山と鎮海はすでに目の前にある」、「この戦いは無意味だ」などの北朝鮮が戦争を優位に進めていることを誇示するメッセージが書かれていた。
ヌード写真を配布した80年代
朝鮮戦争休戦後の1960年代から1970年代半ばまでは、北朝鮮の体制宣伝のビラが韓国側のビラを枚数的にも圧倒していた。実際、このころまでは北朝鮮のほうが経済的に豊かだった。
事実、この時期の北朝鮮のビラを見て韓国から38度戦線を越えた韓国人は少なくない。
1970年代後半、韓国の発展に比例して韓国からのビラは増加。80年代に入ると内容にも変化が見られ、発展した都市を見せつけるようにソウルのデパートやきらびやかな夜景、近代的な高速道路などの写真が配布された。さらに水着女性やヌード女性の写真なども配布されて、「韓国へ来れば美女と結婚できる」と韓国の経済発展とともにビラの内容も小馬鹿にしたものも見られるようになった。
(続く)